夢に堕ちるとは。 ページ43
No side
「残りは君だけだ、Aくん」
澁澤は太宰からAに視線を移した。
Aは睨むようにして目を細め、口元は歪んでいた。
『キャラメルとおにぎり不足の時にこの世とおさらばするなんて嫌なんだけど』
「それは安心し給え。彼は君を殺さないらしい」
その言葉に、Aが怪訝そうに眉を顰めた。
『彼って、如何いう__』
最後まで言うことは出来なかった。
首元まである外套の第一釦を外され、そこに注射器が入れられた。
抵抗する間もなく、針が首を刺し薬を体内に注入される。
ビリッとした感覚が走り、指一本動かせない麻痺状態に陥った。
同時に凄まじい眠気がAを襲った。
視界が霞んでいく中、背後にいるドストエフスキーを見る。
人間離れした、冷酷な笑みを浮かべていた。
「
その言葉を最後に、Aの瞳が閉じられた。
床に向かって傾く体を、ドストエフスキーが細い腕で優しく受け止める。
端から見れば童話の一シーン。
だがそれは表紙に描かれた挿絵に過ぎない。
頁を開けば、生贄の少女を見て舌なめずりする悪魔だ。
Aをそっと床に寝かせる。
経緯を見ていた澁澤は不思議そうに問うた。
「単純に疑問なのだが、君はAくんを手籠めにする為に私に協力したのか?」
「目的のうちの一つですよ。手に入れたいと思う
そう言って太宰の死体に目を向けた。
直後、太宰の身体から結晶体が浮かび上がってきた。
澄んだ青い光が淡く輝く。
「所有者が死んだことで、異能が分離され始めましたね」
澁澤の異能は、作り出した霧の中にいる異能者から異能を分離させる能力。
太宰の異能は、触れた異能を無効化する反異能力だった。
しかし、太宰が死んだことによって異能無効化の力は消えた。
太宰の死によって、漸く異能を手にれることが出来るのだ。
「ああ...生まれて初めてだ。こんなに胸が高鳴るのは」
歓喜に震えながら異能結晶体に手を伸ばす。
どれ程の時を経て、この瞬間を待ち望んだろうか。
この為に、ドラコニアの台座を開けていたのだ。
求め続けた異能を飾る為に。
だが、その期待は打ち砕かれた。
891人がお気に入り
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
この作品を含むプレイリスト ( リスト作成 )
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
美喜 - すみません!冗談が上端になってます。 (2018年9月11日 20時) (レス) id: abfcbd5bcc (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - さくら海さん» わざわざありがとうございます!直してきますね (2018年9月4日 11時) (レス) id: 4350057b28 (このIDを非表示/違反報告)
さくら海(プロフ) - 誤字を見つけたので、すみません!昨日の影踏み、が、いのうになってます! (2018年8月30日 21時) (レス) id: 3420adefd8 (このIDを非表示/違反報告)
RANA(プロフ) - 表情筋ニートさん» こちらこそ、読んていただきありがとうございます!心のオアシス「参謀とは。」頑張ります笑 (2018年8月21日 13時) (レス) id: 6db7f9f3bc (このIDを非表示/違反報告)
表情筋ニート(プロフ) - 面白い作品ありがとうございます。私も文ストのアプリやってます。どのキャラクターも可愛くて、かっこよくて、心のオアシスですwこの作品も私の心のオアシスのひとつです!これからも応援しています。更新頑張ってください! (2018年8月17日 0時) (レス) id: 2d1443bf10 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:RANA | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/my.php?svd=seb
作成日時:2018年3月27日 0時