NO.6 ページ7
ー朝ー
A「……起きなきゃ」
トントンと階段を下りて、リビングへと向かう。
母「おはようA」
A「おはよう。今朝はエッグベネディクト？」
母「ええ。あなたの大好物でしょう？この頃、貴方が変わったような気がして、久しぶりに作ったの」
母の言葉にドキリとした。
母には、見透かされているのだろうか。
私の気持ち、そして、出来事さえも。
A「何も変わっていないよ。私は私だから。じゃあ、いただきます」
エッグベネディクトを口に運ぶ。
半熟の卵が、これまた美味しい。
A「ごちそうさまでした。着替えてくるね」
母「ええ」
A「じゃあ行ってきま「ピンポーン」……え？誰？」
母「さあ……はーい！」
ガチャ
ドアを開けた先には、
幸村精市がいる。
母「貴方は……？」
幸村「初めまして。Aさんと同じクラスの、幸村精市です。近所なので、これからもよろしくお願いします！」
母「幸村くん、こちらこそよろしくね。それにしても礼儀正しいわね」
幸村「いえ、そんな。ありがとうございます」
……今のうちに。
だが、私の思惑は崩れ去った。
幸村「ほら行こう、如月さんと行きたくて来たんだから」
A「……」
私は幸村をスルーして歩き出す。
幸村は隣を歩く。
幸村「何か話そうよ」
A「……話す事なんて、ない」
幸村「あるよ。たくさん、ね」
何なの、こいつは。
ー学校ー
幸村「あ、あそこの校舎裏。涼しそうだね」
A「……うん」
私は幸村が指さしている校舎裏を見る。
A「！」
＿＿＿あそこは。
A「……いや、いやあっ！！」
幸村「如月さん！？」
A「思い出したくない！！思い出させないで……！お願い！」
幸村(思い出したくない……？)
睫毛がゆっくり伏せられる。
流れに身を委ねるように、私は倒れてしまった。
幸村「如月さん！！」
だって、あそこの校舎裏は、
＿＿＿彼が、浮気した場所だから。
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