いつも通り ページ37
紅丸side
紺炉から話を聞いて部屋に向かうが、そこには何時もと変わらないAの姿があった
｢？紅丸、驚いた顔してどうしたの？｣
｢あ？いや、何でもねぇ.......｣
｢そう？.......あまり無理しないでね？｣
｢........あぁ.......｣
そっと隣に座って、Aの横顔を見る。
｢.......今日、紅月は誰が見てるの？｣
｢今日は着物屋のバァさんが泊まりで面倒見てぇって言ってたぞ？｣
｢詰所には居ないんだ.......｣
｢折角退院したのにな.......悪い、連れてくるか？｣
｢.......紅丸｣
そっと立ち上がろうとした俺の膝の上に、向かい合うようにして座られる。
｢.......どうした？｣
｢.......今日は二人の時間を楽しみたい.......って言ったら.......変？｣
｢いや、変じゃねぇ。寧ろ愛おしいさ｣
逃げられないように、Aの後頭部と腰に手を回して優しく深く口付けを交わし、布団まで連れて行く。
｢.......んっ.......べに....まる...｣
｢.......あ？｣
｢愛してる.......｣
｢俺もAを愛してる｣
＿＿＿＿＿
久方振りに事をしたからか、Aは疲れきった顔をして隣で寝息を立てていた。
物足りねぇっちゃ物足りねぇが......
それでも心は満たされた気がする。
塞がったとはいえ、腹部と背中には真新しい傷が出来ていた。
.......女の身体にこんな消えない傷が沢山出来ちまうなんてな.......
傍に居てやれなかった事を悔いてしまう。
思わず、腹部の傷跡にそっと唇を落とした。
＿＿＿＿
夢主side
心底恥ずかしい。
.......まるで私が誘ったみたいになってしまった.......
目が覚めて隣を見ると、子供みたいな顔をして眠りにつく最愛の旦那様の顔があった。
｢.......ん.......｣
起こしちゃったかと思ったが、ただ寝返りを打っただけみたい。
｢紅丸、ごめんね。私は白装束との戦いが終わったあの時、このまま死んでも良いかなって諦めてたんだ。
.......でも、こうして紅丸と触れ合ってたら、生きたいって思ったの。.......まだ紅丸と一緒に居たいんだ。
また紅丸に救われちゃった.......何時も有難う｣
聞こえないであろう独り言を呟き、肩に顔を埋めてまた眠る事にした。
＿＿＿＿＿＿
紅丸side
本当は起きていた。けど、寝返りを打った振りして、どう動かれるのか、反応を楽しんでいた。
だが、発せられた言葉は予想外の物だった。
......生きる事を諦めんなよ、俺も紅月も居んだろ.......
｢頼む、俺らの為にも生きてくれ｣
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作者名：ぴぃ | 作成日時：2020年12月15日 21時
