5＋1 その3

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今日は幸い夜のラジオまで仕事がない。
それまでに何とかしなければ、と日向ぼっこをしながら考え続けて早2時間。


案外この体は心地良くて、時間は瞬く間に溶けてゆく。


もうこのままでもいいかも。
でも、これを理由に仕事を放棄するのは性にあわない。



にゃあ……



しかし誰に、どうやって助けを求めればいいのだろう。
しっぽをたしたしと壁に叩きつける。



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13時

暖かい日和にうとうとと船を漕いでいると、チェアの上で震える携帯の振動に飛び上がった。


体が小さいとこんなに音が鼓膜に響くのか、と驚いたのもつかの間、何者かからの着信に反応しようとなれない肉球で携帯を操作する。


電話に出る方法は分かるのに、表示された文字を読むことは出来なかった。
もう俺の脳みそも半分猫なのかもしれない。



「に！にゃ！(もしもし！)」

『え！樹今猫ちゃんといるの？』



声の主の判断に鈍りはなかった。



「にゃい！にゃい！(ダディ！樹！)」

高『…もしかして、樹が猫ちゃんになってる？』



…どうしてこうも物分かりがいいんだ。
というのか、思考回路が乙女なのか。今ばかりは助かる



「にゃあ……にゃ、にゃにゃ、、(なぁ…俺、猫になっちゃった。どうしよう)」

高『えぇ〜？かわいい〜。うーん、どうしようね、俺がなんとかしてみようかにゃ？』



そして何故会話が成立しているんだ。

……いや、普段ものに話しかけるくらいだからな。

というか語尾がうつってんぞ、と言いたいけど、くそ、猫語じゃ突っ込めない！



高『今日あとラジオだけだから、家行ってあげよっか？なんか手立てが見つかるかもしれないし。…てか誕生日で電話したのに！樹おめでとー！待っててにゃ〜！』



そこでぷつりと電話が切れた。

……今日、誕生日だったか。

子供の頃は気分が上がって、前日からそわそわして眠れなかったのに
今では毎日目まぐるしく働き回って、当日になっても忘れている。


……ま、今はそれどころじゃないのだけれど。


はぁ、と猫ながら積年のため息が零れた。






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