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その20分後。家のチャイムが鳴った。
高「ひはは、ほんとに猫になってる。かぁいい〜」
こーちは俺を軽く抱き上げて、おじゃまします、と靴を脱ぐ。
緊張する場面でも、緊急事態でも、こーちはとにかく落ち着いている。
落ち着いてるふうに見せているだけの時もあるのかも知れないけど、それでも充分立派だ。
いつも頼りなく見える細い腕は、逞しくて温かい。
高「とりあえず、いつも通りの事をしてみる?お昼寝とか」
「にぁ…?にゃ、…(それ意味あるのか…1人でも昼寝してたけど)」
高「まぁまぁ、たまには俺に委ねてみなさい」
こーちはソファに腰掛け、俺は渋々膝の上に丸まった。
背中をなぞるように撫でられるとたまらなく気持ちがいい。
ふぁあ、とこーちがあくびをした。
お前が眠かっただけじゃねぇか、と心の中で突っ込む。
こーちの手がぽかぽかと熱を帯びて、撫でるテンポがだんだんゆっくりになってくる。
とくん、とくん、と規則的に刻む心臓の音。
大きく骨ばった手。
穏やかな寝息。
いつも通りのこーちの寝姿に安心して、
少しどきどきする。
じゅり、と寝ぼけながら呼ばれた声に一応しっぽでなぁに、と反応すると、へにゃりとこーちの表情が柔らかくなった。
高「…だいじょうぶ。」
小さい心臓が飛び出てしまうかと思った。
そんなの耳元で言われたらやばいだろ。
なんの見返りも求めずただそばに居てくれる人の心の温かさ。
優しくて満たされて、なんて幸福な時間だろう。
この猫にとっても、それは変わらないだろう。
…よかったな、と猫に想って瞼を閉じた。
俺は再び電話の音で飛び起きた。
目の前には電源の着いたままのコントローラー。
液晶画面の横に表示された日時は、6月14日の深夜を指していた。
がばりと身を起こす。
体も脳みそも元通り。…時間さえも。
そして電話の主はこーちだ。
高『あ、もしもし樹ー?』
樹「……どっからが夢で、どっからが現実?」
高『…はぁ?』
樹「今日…ラジオこーちだよね?」
高『俺今都内にませんけど?…あ!日付変わった〜樹お誕生日おめでとう!』
通話画面がビデオに切り替わり、彼の満面の笑みが映し出された。
高『28歳になって早々ボケた?』
樹「うん、そうかも。だって今俺めっちゃこーちに撫でられたいしほっぺすりすりしたいもん」
高『ひゃはは!気持ちわりぃ〜!』
俺も釣られて笑顔になった。
少し不思議な、でも幸せな誕生日だった。
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ななみや(プロフ) - ちなさん» ちなさん、いつもありがとうございます♡最年長コンビ、ほんとに可愛いですよね〜!ちょっと不安だったのですが、ラブいただけて良かったです( ´-` )ライブ、行きたいですね〜!! (2022年11月18日 20時) (レス) id: 79361d6db2 (このIDを非表示/違反報告)
ちな(プロフ) - ふわふわ…ほのぼの…最年長コンビ、尊いですね!!マイナスイオンです。いつも私に萌えをありがとうございます♡ラブです^_^そしてリアルもこっちもライブがんばれ!ですね!行きたいですねー…。。。 (2022年11月18日 19時) (レス) id: 83fa992d20 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ななみや | 作成日時:2022年9月20日 0時