猫被ってたら、彼と出会った。【赤司征十郎】

猫かぶり３７ ページ8

「あ、赤司…」

「あ、いいのかなぁ？オレの前で他の男の名前出して」

何とか逃げ出そうと思うけど、腕は抑えられてるし
上に乗られているから身動きが取れない。

「ふっ、その顔、めっちゃ可愛いよぉ」

「やめっ…」

彼が、私の最期のボタンに手をかけた時＿＿＿＿




.




「A！」

「あ、かし…」

扉が大きな音をたてて
開いた。



扉の前に立っていたのは、赤司で
私達を見ると、すたすたと歩み寄ってくる。

「あ？なんだよてめえ」

田中は低い声で赤司を威嚇するけど
赤司は全く気にも留めず、こちらにむかってくる。

「てめえ、無視すんじゃねえよ！！！」

ガッ

赤司は殴りかかってくる田中の手首を掴んだ。

ギリギリギリ

と、赤司がかなりの力で掴んでいることが分かる。

「くそっ！」

そう呟きながら屋上を出ていく田中を見ながら私は
座り込んだ。

「大丈夫だったか…？」

赤司は先程とは打って変わって心配そうな表情で手を差し出してくる。

「うん、大丈夫…」

「あと…ボタン」

私はボタンが全部開いていることに気が付き

慌ててかけ直す。

「あいつ、女遊びが酷いって有名だったんだ…
なにもされなかったよな？」

「うん、なにも…。
あと」

昨日の返事、今するよ。

私はそう前置きして言った。

言うことは、返事は、もう決まってる。

だって気づいたから。


「よろしくお願いします。」

猫かぶり３８→←猫かぶり３６

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す