182話:家族に別れを ページ32
『…赤井さん、実の所もう俺は
両親の事は忘れているんだ』
「…え」
『確かに愛されていたのは分かっている、
分かっているが覚えてないんだ、
どんな会話したか、どんな顔していたか、
声が忘れているんだ、正直フラン以外の人間の記憶はもう無い、だから辛くないし悲しくない』
きっと赤井さんは悲しく
なってしまったんだろう、
自分の大好きな人が異世界人で、その異世界人が「父さん母さん」と今は無き家族の名前を呼んでいたら理由は分からずとも悲しくなるのは当然っちゃ当然。
特に、この人は優しいからな。
『俺が言ったのは両親への別れだ、
吹っ切れたんだよ、此処に来て…
踏ん切りが付いたというか、違ったとはいえ
故郷に来たら突然思い出してな、
それに俺は死んだ、
だから会えないのは当然だし、
寧ろ居なくなった側は俺の方、
赤井さんが悲しむのはお門違いだ』
抱き締め帰して慰める様に頭を撫でる。
『それに、両親を忘れたのはこの世界に
来る前の俺の願いでもあるんだ』
「ぇ…」
『俺は両親が大好きだった』
そりゃそうだ、俺が死んで泣いているであろう、悲しんでいるだろう両親の事を思い続けていたら俺の精神は大変な事になるわな。
『大好きだからこそ、忘れたかった』
「何故…」
『苦しいからだ、もし覚えていたままだったら俺は会いたいと、寂しいと苦しむ羽目になる、所謂ホームシック状態だな、
そうなりゃ俺はこんな呑気なシンガー
ソングライターなんかやっていない』
「………」
『だから、両親に愛されていた
というのだけを残して後は忘れたんだよ、
俺がこの世界で生きる為に』
そんな俺は薄情か？と赤井さんに聞く。
「…違う、君は子供だった…親が恋しいというのは当然…俺が親なら、苦しんで生きるよりも、忘れて幸せになって欲しい…」
『…ありがとう、嬉しい』
「…俺は、君が好きだ…」
俺の胸に擦り寄る赤井さんの目元の涙を
拭って、抱き締めたまま布団に倒れる。
「俺の好きな君が幸せで
いてくれるなら、俺も幸せだ…」
『…なら一緒に幸せになろう、
というか俺が幸せにする』
「…ふふ、それは良いな」
『…もう少し寝ようか』
「あぁ、おやすみ…」
『…おやすみ』
今の俺には両親は居ないけど、
大切な仲間達と、愛する恋人と、
面白い親友が居てくれるから、それで良い。
今度こそさようなら、父さん母さん、
おかげで幸せだ。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 289人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
【逆ハー】ロマネも弁償してくれてないのに、今度はパツキン褐色がストラディバリ... トリプルフェイス？いえ、ツウェルブフェイスです( ・`д・´)←【名探偵コナン】3
留年組のキスシーンとその先【朔間零】もっと見る
「名探偵コナン」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
推しの顔がいい - 了解です！ (2020年5月16日 23時) (
レス) id: 39942f099a (このIDを非表示/違反報告)
Tyrant(タイラント)(プロフ) - 推しの顔がいいさん» うーーーん地雷ですすみません！！ (2020年5月16日 14時) (レス) id: 3c653ee3c0 (このIDを非表示/違反報告)
推しの顔がいい - 何個もすみません！赤井さんと夢主が入れ替わってる〜！？ってなって皆の前で色々しでかしてほしいです(笑) (2020年5月16日 0時) (レス) id: 39942f099a (このIDを非表示/違反報告)
Tyrant(タイラント)(プロフ) - 竜斗さん» はい！受けます！ (2020年5月15日 23時) (レス) id: 8824dda887 (このIDを非表示/違反報告)
竜斗 - 分かりました！無理言ってすいません……。お願いしますm(_ _)m (2020年5月15日 20時) (レス) id: 61912ff4bf (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：Tyrant(タイラント) | 作成日時：2020年4月14日 12時
