カプチーノ 【豪炎寺修也】

第26話　忘れもの ページ26

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うわぁ、やっちゃったな。

完全に忘れてた。


天気予報で、午後から雨って言ってた。なのに。なのに、傘を忘れた。


駅ビルの雑貨屋さんで新しい食器を買って、るんるん気分だったのに。

丁寧に包んでもらった食器の入ったビニール袋を握りしめて、立ち尽くした。


コンビニの傘ってそんなに安くないし、今日のために買うのはもったいないし。



屋根のあるところで、傘を買うか買わないか、しばらく悩んでいた。

すると、『Aさん』と後ろから肩を叩かれた。


「えっ、豪炎寺くん？何でいるの」

驚いて少し後ずさる。


「何でって、今からAさんとこの本屋に行こうと思ってたんだ。そっちは何してるんだ？こんなところに突っ立って」


「帰ろうと思ってたんだけど…」


「もしかして、傘忘れたのか？」

豪炎寺くんは半笑いで訊いてくる。


「うぅ、その通りです」

恥ずかしくなってうつむくと、豪炎寺くんは、『なら、一緒に帰るか』と言って、傘をバサッと開いた。


「入らないのか？」


「いいの？それ、相合傘だよ？」


「このままここに置いてく方がかわいそうだろ。ほら、入って入って」


豪炎寺くんに急かされ、傘の下にそーっと入ってみた。申し訳無さと、抵抗しかない。

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