カプチーノ 【豪炎寺修也】

第11話　気になるあの人 ページ11

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「ちょっと、Aちゃ〜ん。何、今の」

平気を装って作業している私のところに、ユウさんがニヤニヤしながら近づいてくる。


「えー、やだ、見てたの？」

思いっきり顔をしかめると、ユウさんは

「見てたよ。バッチリ。一部始終をね」

と付け加えた。




「で、誰なの？さっきの人」

ユウさんは興味津々な様子で詰め寄ってくる。


誰なのって聞かれても、お客さんとしか答えられない。

いやぁ、でも、かっこよかったな。あの人。紳士的だったし、いい匂いしたし。



「何、顔赤くしてんの？」

「へ？い、いや、何でもない」


「Aちゃん、さっきの人かっこよかったねぇ」

私があの人を思い出して頬を染めたのをいいことに、ユウさんはいたずらっぽく口角をつり上げた。



「ねえ、ユウさん。一目惚れってしたことある？」

「まさかAちゃん、さっきの彼に…」

ユウさんが驚いた顔でこっちを見る。



「い、いや、別にそうじゃないけど。ユウさんの浮いた噂聞いたことないなって思って」


これは本当。ユウさんとは長い付き合いになるのに、ユウさんに彼氏ができたとか、結婚したとか、そういう類の話を聞いたことが一切ない。


ユウさんは何かを思い出すように、遠くの空を見つめる。



「一目惚れかぁ。そりゃあ、あるよ。昔はね。こう、その人をひと目見た瞬間、胸がギューってなって、『あっ、この人だ』ってなるんだよね。って、私のことはいいの」

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