触れて確かめて 【豪炎寺修也】

第11話　言えない気持ち ページ11

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帰り道。

いろんな他愛もない話をした。まあ、主に部活のことなんだけど。


その途中でも、豪炎寺くんの好きな人ってどんな人なんだろうって、そればっかりが脳裏をよぎった。


やっぱり可愛い子なんだろうなぁ。

それか、豪炎寺くんの隣にいても見劣りしないくらいの超美人。


それはきっと私じゃない。

せいぜい気の合う先輩がいいとこだ。


わかってるよ、それくらい。



はぁ、想像して勝手に傷つくのやめよう。バカみたいだもん。

そう思った５秒後に、またそのことばかり考えてる私、何なんだろ。ほんと。




「先輩」


「ん？」


顔を上げると、自然と目が合う。

ただそれだけで、ドクンと心臓が大きく跳ねた。



「先輩はいないんですか？好きな人」


「えっ…」


急に？

豪炎寺くんが、私の表情を伺ってる。けっこう興味津々って感じで。


「えっと…」


やめてよ、そんな顔するの。


豪炎寺くんはニヤリと口角を上げて、『どうなんですか』と私の目を真っ直ぐに見つめた。


またドクンドクンと鼓動が早くなる。




「い、いないかなぁ」


ちょっと声が震えた。


「まあ、私のことはいいからさ。ね？」


「俺は知りたいんですけど」


そんなこと言いながら、豪炎寺くんはクスリと小さく笑った。







．




何て答えたらよかったんだろ…、あの質問。


ひとりになってから、頭の中で延々と考えちゃう。


いるって言っても、いないって言っても、まあどっちでもよかったんだけど。

豪炎寺くんの中に私っていう選択肢はないだろうから。

幼い頃の初恋の話を披露するのもなんか違うし。

かと言って、君のことが好きだって、あのタイミングで言えるわけないし。


まぁ、いっか。

きっとそんなこと、明日には綺麗さっぱり忘れてるから。

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