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第81話 小さな亀裂 ページ32







着実に、二人の間を割いていく小さな亀裂。

それは同時に、好都合な隙間になる。




影山も大人気ないよなぁ。


たった一言で拗ねてちゃ、今じゃなくたって、いずれAちゃんに見限られるんじゃねぇの?





俺たちの試合が少し早く終わったから、ちょうど始まったらしい烏野の試合を見ることになった。


だから、こっそりAちゃんの様子を伺った。

他のやつは気づいてないかもしれないが、俺にはすぐにわかった。



ふたりの間を走る、緊張感。



無理して笑ってたろ?

誰にも何も悟られないように。






胸が痛かった。


それ見て、その場でキミを抱きしめたい衝動に駆られた。



無理しなくていい。


影山にこだわんなくても、俺がいる。


俺にしなよって。









「余計なお世話です」


そう言うAちゃんの瞳の奥は、悔しいけど、俺じゃなくて影山を追ってる。

何で懲りねぇの。



「黒尾さん」


Aちゃんが真っ直ぐに俺を見据えた。


「黒尾さんが言ってくれたこと、嬉しかった……けど、私……」


「待って」



キミが今何を言わんとしているか、さすがにわかる。

でも、待って。



華奢な肩に右手を乗せた。


「へっ……?」


不思議そうな顔をしたAちゃんに、柔らかいまなざしを向ける。


キミの唇の前に人差し指をそっと立てて、片目を瞑った。



「まだ、言わないでよ」























さすがに大人気ない。


Aの様子がいつもと違うことがわかっているのに、変なプライドが邪魔して、引けなくなって。

だんだん遠ざかる距離にイラついた。



Aが俺に言わなかったのは、まぁムカつくけど、何か理由があるんだと思う。

だってAってそういうとこあるだろ?




一歩踏み出すのは難しく見えて、とても簡単だ。


変なプライドを捨てさえすれば。





「あの、清水先輩。……Aは…」


「トイレ行くって」






体育館を出てから思った。てか、どこのトイレだよ。


引き返して訊こうと思ったが、やめた。




遠くの方に、忌まわしいトサカベッドが見えたから。


何となく、コイツが行く先に、Aがいる気がした。

不本意。




少し早足でその背中を追う。





案の定、Aもいた。

超不本意。





建物の影に身を潜めて様子を伺う。


何か話すふたり。

ふと、その距離が縮まった。



ドクンと嫌に心臓が跳ねる。



赤いユニフォーム越しに、頬を染めた君が見えた気がした。

第82話 キザなやつ→←第80話 息を潜める



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pomme(プロフ) - riさん» ありがとうございます〜!!🫶🏻 (2022年5月21日 16時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
ri(プロフ) - 最高でした〜〜🥲💗💗💗 (2022年5月21日 10時) (レス) @page50 id: d86ac26d68 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - 黒猫。さん» いつもありがとうございます!!!黒猫さんの熱超ヤバいし、嬉しすぎるし、ありがたいしで狂っちゃう!もうほんと、マジありがとうございます🫶🏻🫶🏻頑張ります〜! (2022年5月6日 20時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)
黒猫。(プロフ) - うわああああ!!…わあ。語彙力吹っ飛びました!!もう!好き!コメ欄が黒猫ばっかになってすみません本当に!愛が溢れてまう…!!とりあえず主様を神と崇めさせていただいてよろしいでしょうか!!かっ…げやまぁ!!完結まで応援しますわ…影山との恋の行方を見届けます! (2022年5月5日 20時) (レス) @page42 id: abf8c53ec1 (このIDを非表示/違反報告)
pomme(プロフ) - 黒猫。さん» ありがとうございます!!!嬉しすぎて、もう泣いちゃう!!素敵なありがたすぎるお言葉、何度も読み返してニンマリしてます……🫶🏻いい夢見れそう… (2022年4月11日 23時) (レス) id: 13950c2c2a (このIDを非表示/違反報告)

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作者名:pomme | 作成日時:2022年1月20日 23時

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