Orange ２nd【黄瀬涼太】

第71Q　喧嘩 ページ22

YOUside



文化祭参加のお許しを貰った黄瀬君は、テンション上がって私の上に覆い被さってきた。
触れる唇は、さっきよりも熱を帯びて激しさを増す。





貴方「やっ……んﾝ」

黄瀬「A、口……開けて？」

貴方「！？どう……して？ハァハァ……」

黄瀬「舌を絡めたいんス……」

貴方「！？」





ちょ、ちょ、ちょ……えぇ！？
それって、その……世間で言うディープキス？
突然すぎない？





黄瀬「Aをもっと感じたいんスよ。ダメ？」

貴方「……」

黄瀬「任せて。俺が手取り足取り、教えてあげるから」





ピクッ



何て、言った？
手取り足取り、教えるだって？
幾ら恋愛経験豊富でも、言っていい事？
どうせ私は、全くのキス初心者ですよ！





貴方「キスしない……」

黄瀬「え？」

貴方「……ってか、暫く黄瀬君とキスしない」

黄瀬「はい？」

貴方「今日は、もう帰る！」





机に広げてあった教科書を鞄へしまって、そそくさと図書館から出た。
彼は何が何だか分からずに、慌てた様子で私を追い掛けて来る。





黄瀬「待って！どうしたんスか？」

貴方「……黄瀬君には分からないよね？」

黄瀬「A？」

貴方「キスの仕方なんて教わりたくない！黄瀬君は慣れたもんだから私とじゃ物足りないかもしれないけど、私は……」

黄瀬「あわわっ……」

貴方「恋愛初心者なの！それに、高１でキスは早い方なんだから！あぁー！イライラしてきた」

黄瀬「A！」

貴方「少し、１人にさせて」





背後で彼が切ない表情をしていたとは知らず、言いたい事を吐き、その場を去った。





貴方「ケンカしちゃった……一方的に、私が怒ったんだけど」

笠松「A？」

貴方「幸ちゃん……」

笠松「どうした？暗いぞ」

貴方「……」





キスの事は触れなかったけど、何となく恋愛に対しての相違があると、幸ちゃんに話した。





笠松「まぁ、アイツは過去荒れてたらしいから、知識は豊富かもな」

貴方「幸ちゃんが、メチャクチャ硬派に見えたりして」

笠松「うるせぇ！」

貴方「私が愚痴を零した事、黄瀬君には内緒にしててね？」

笠松「はいはい」





私って、恋愛に真面目すぎかな？
彼の事を軟派だと感じた事はないし、黄瀬君なら触られても……と常に思ってるけど、どうも堅くて。



彼に酷い事、言っちゃった。
会話のキャッチボールは難しい。

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