ここにいる【銀魂】第12章

514 ページ25

side貴方






再びまた子ちゃんに背を押されて晋助の部屋まで戻り、既に寝間着に着替えた二人とおしゃべりをする。


武市さんは万斉から




「こじらせ中だ」




と、何がとはとても聞けない表情で言われた為その先は聞かないようにした。


少しお酒を飲みながら話しているとまた子ちゃんが急に顔を両手で覆い隠す。






「どうかしたまた子ちゃん…？」



「や…なんかもうやばいッス、ちょっと、ほんともう…色気が…」



「……晋助か」







万斉がそう呟いたので隣を見ると、目が眩む程妖しい色香を漂わせる彼が静かにお猪口を傾けていた。


潤った唇が淵から離れ、視線をズラした彼と目が合った途端体に熱がこもる。



確かにこれは心臓に悪い…






「し、晋助、もう少し色気仕舞おう…？」



「果たして仕舞えるものなのか。胸元を隠してみるのはどうでござるか？主は着崩しすぎでござる」



「…窮屈だろ」



「来島が気絶しそうなのだ。ものは試しでござる」






万斉に促され仕方なくといった感じで襟元を正した晋助。



3人でその姿を見るも、色気は隠すどころか放出される一方で頭を抱えた。



小太郎みたいなちゃんとした着方だと抑えられるかなと思ったんだけど…



むしろ隠した方が妖しくなり元に戻してもらう。







「顔を隠す以外抑えようがなさそうでござるな」



「お面…とか？」



「酒飲めねぇだろ」



「！眼鏡とかどうッスか⁉黒縁とかなら硬派なイメージに…！」






表情を明るくさせ飛び上がったまた子ちゃんはその勢いのまま部屋を出て行きマッハで戻ってきた。



手には少し分厚めの黒縁眼鏡。



なるほど、これなら……







「……これで満足か」



「………」



「………」



「来島息をするでござる」







パタリと倒れたまた子ちゃん。



全然駄目だったね。



どうやっても無理だという結論に至った私達。



また子ちゃんは特にお酒が入った今の彼は直視出来ないとの事で目を泳がせながらおしゃべりを続けた。






「Aは逆に普段着でも着崩したりはしないでござるか？」



「うーん…してみたくはあるんだけど似合わなそうで…」



「絶対似合うッスけどそれで町歩いちゃ駄目ッスからね‼」



「え？な、なんで？」



「危険だからに決まってるじゃないスか！」






危険？



何がだろう…





.

515→←513

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す