513 ページ24
side万斉
「我慢強くなったのではないか?主」
来島に背を押され遠くなってしまったAの姿を見つめながらそう問いかけてみた。
先程の彼女の反応を見て今この場では口付けの一つや二つで済めば我慢した方だと思ったが、特に何もせず「風呂に行ってこい」と言っただけで終わる。
その後の事は容易に想像出来るが、正直今耐えられたのが意外だった。
拙者の問いかけにしばらくは口を閉ざしていた晋助。
自室に戻る為進めていた足がピタリと止まり、拙者も一歩前に出たところで歩みを止める。
「………逆だ」
「逆?」
「__________アイツが欲しくて堪らねぇ」
そう呟いた晋助の顔を見て口が開いてしまったのは仕方がないでござろう。
くしゃ、と手が前髪を乱し、苦悩に歪める眉には似つかわしくない朱に染まる頰と耳。
蓋をしようにも溢れてやまないのか皺ができるまでもう片方の手は胸の辺りを掴んでいる。
来島曰くおなごが卒倒するような甘い表情や届かない想いに眉を寄せる姿は今までにも見てきたが、この表情は初めてでござる。
それ程までに想っているのに何故「好きだ」と、そのたった三文字を晋助含め言わないのかが不思議だ。
また晋助が足を動かしたことで拙者も後に続く。
部屋に戻る前ドアノブに手をかけたまま動きを止めた晋助は小さな声で拙者を呼んだ。
「…お前も風呂が済んだらこっちへ来い」
「?何故だ。邪魔するなと言ったのは主でござろう。明日には港に着く、今夜が独り占め出来る最後のチャンスではないか」
流石に今夜は拙者達も面白がらず二人にしてやろうと思っていた。
それに先程夜を思わせるような発言をしたではないか。
訳が分からないと首を傾げる拙者に晋助は唸るように言葉を発した。
「………我慢強ぇ奴は意識のない奴に襲いかかったりしねぇだろ」
「…?」
「_________抑えれる、自信がねぇ」
「!…要するにストッパーをしてくれという事でござるか」
承知したと頷き苦笑いをこぼしてその場を離れる。
好きを飛び越えてその先へ行ってしまうのは確かにいただけないでござる。
…だが晋助、以前手を出していなかったか?
はて、と思いながらも今の奴は最後の理性の糸も保つ余裕がないのだろうと解り、やれやれと息をついた。
.
744人がお気に入り
この作品を見ている人にオススメ
「銀魂」関連の作品
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
李由華 - 更新頑張ってください!楽しみにしています! (2020年1月27日 17時) (レス) id: a39b69135d (このIDを非表示/違反報告)
李由華 - おもしろくてドキドキしちゃいました! (2020年1月19日 0時) (レス) id: a39b69135d (このIDを非表示/違反報告)
かっぱの子(プロフ) - リリアさん» お返事遅くなってしまいすみません!!ログインされた状態で、設定画の検索からフラグ有含む、というのが選択可能になります (2020年1月6日 13時) (レス) id: cb7d4e3a10 (このIDを非表示/違反報告)
かっぱの子(プロフ) - 何卒さん» お返事遅くなってしまいすみません…!この中ですと暗殺教室ぐらいですかね…作者も新作を作りたいと思ってるんですが、現在あるものの更新が滞っておりまして…新作はもう少し後になってしまいそうですm(_ _)m (2020年1月6日 13時) (レス) id: cb7d4e3a10 (このIDを非表示/違反報告)
リリア(プロフ) - また質問すいません。かっぱの子さんが教えてくれた、検索の際にフラグ含めが分かりません。できればでいいのでやり方?というのでしょうか?教えてくださると嬉しいです。(返信めんどくさかったら無視してかまいません) (2020年1月2日 13時) (レス) id: a1c1a0f2f0 (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:かっぱの子 | 作成日時:2019年5月29日 0時