お嬢の狂犬

組の雰囲気 ページ15

深澤が退席したあと、阿部さんがお茶を飲みながらしみじみと話してくれる。


阿部「こちらの組員さんはみんな明るい方ですよね」

A「まあそれが売りというか…阿部さんのところは違うんですか？」


私の質問に少し黙ってしまう阿部さん。

あ、聞かない方が良かった？


阿部「…うちは冷淡というか、頭脳派が多くて」

阿部「僕的には明るい方がいいんですけどね…」


きっと阿部さん以外にも頭のいい人が集まっている組なのだろうな。

静かなヤクザかぁ…私の家からしたら想像出来ない。

でも阿部さんは明るい方がいいんだね、それならうちに来ればいいのに。

なんて、絶対に言えないけどね。


A「私、阿部さんの笑顔好きなんですよね」

A「明るくて優しくて、うちの組員と同じくらい楽しそうに笑ってますもん」


その笑顔を封じ込めなきゃいけない組なら、少しもったいないなと思う。


A「だからここでは沢山笑ってくださいね」


せめてここが息抜きの場所になれば、なんて生徒が言うのもなんだけど。


阿部「…ありがとうございます、嬉しいです」


そう、その笑顔、大好きなんだよなぁ。


その後勉強を再開して気づけば帰りの時間。

いつも通り玄関まで送ろうと私と近くにいた組員で後を追う。

阿部さんが靴を履いて振り向いた。


A「また明後日待ってますね！」

阿部「…はい。では失礼します」


阿部さんと組員が玄関を出て、私は部屋に戻る。


少し深い話しちゃったな、阿部さんの組ってどんな感じなんだろう…

これからも色々な話が出来るといいな。

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