【ワールドトリガー】近すぎる好き Ⅲ (ページ4)

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101cm ページ4

「それと、別にAのお父さんを助けられなかったことだけが理由じゃないから。ぼくがボーダーに入ったの」

「え？」

「ぼくにはぼくの理由があってここに居る訳だし、別にAの為だけじゃない。自意識過剰だね」

「え、だって……え？」

「ぼくは別にAを守ってるつもりは無いし、まぁ……気にしなくていいんじゃないってこと」

そう言うと士郎くんは繋いでいた手を離して、上着のポケットに突っ込んだ。

やっぱり聞かれていた。まぁ当然といえば当然だけど。

「士郎くんにそのつもりは無くても、わたしはいっぱい士郎くんに助けられたよ」

「そんなのぼくは知らないし、勝手に一生かけて恩を返せば？」

「……うん、そうする」

「ほら、さっさと帰るよ。寒い」

士郎くんがいつもより少し歩く速度を早くして歩き始める。後ろから見える耳が少し赤くて、それに気づいてわたしの頬が一気に熱くなる。

おかしいな。冬なのに。暑く感じるなんて。

どうか士郎くんが振り向きませんように、と願いながら、心拍数が聞かれている時点でどきどきしてるのバレてるだろうなぁなんて考えていた。

うっすら雪の舞う帰り道、家までの残りの道はお互い一言も話さなかった。

「はぁ」

自分の部屋で1人カーペットに突っ伏した。

「やっぱりもっと強くなりたい」

恩を返すためにも。でも生身の体のわたしに何が……あっ。

その時浮かんだのは、同じB級のある部隊の隊長の言葉だった。

「筋トレ、してみようかな」