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40話 ページ40

影山に対して批判的なことを言う雷門サッカー部の言葉を聞き、その表情を見た塔子は鬼道に話しかけた。

「なぁ影山って中学サッカー協会の副会長だったんだろ?」

「そうだ。そして帝国学園の総帥だった。俺たちの…チームの」

 それだけ聞くとそう悪い感じではない。何故そんな人を倒さないといけないのか、という塔子の疑問に円堂が答えた。

「勝つためには手段を選ばない奴だったんだよ」

「それも自分の手は汚さず人を使って相手チームを蹴落とそうとする」

 鬼道と円堂からの話でようやく影山がどんな人なのか分かった塔子は「きったねえの」と顔をしかめた。

「卑怯が服を着て歩いてるような奴さ」

「それだけじゃない。あいつは勝つために“神のアクア”を作り出した」

『“神のアクア”?なんだそれ?』

「人間の体を根本から変えてしまうものさ。神の領域まで…」

 世宇子中の強さを思い出しながら風丸が答えた。あの力があれば…イプシロンにも勝てるのではないか…。そんな思いが風丸の頭を過った。

「結局それが影山の逮捕に繋がったのよ」

「そいつが脱走したんだ」

「またサッカーを使ってなにか企んでるのか!」

 車内を走行音だけが響く重苦しい雰囲気が覆った。

「うわああああああ!」

「どうした!?」

 急に叫びだした壁山に円堂が振り返って声をかけた。肩を震わせ鏡を覗き込んでいて顔がみえない。

「木暮くんがヒドイッス!これ見てくださいよ!」

 壁山が前を向くとマジックで顔中に落書きされてなんともおかしな顔にされていた。それをポカーンと眺めていると皆同時に声を出して笑いだした。

「なんで皆笑ってるンスか!」

「わらっ!てなんか!ハハッないよ!」

『アハハハハッ!笑ってるよ円堂!ハハハッ、せめて耐えて言ってよ!』

 席から立ち上がってマネージャーたちが座っているところまで来た木暮を春奈が叱り席まで戻るよう促すと慌てて自分の席に戻りきちんとシートベルトまで締めて座った。
 
 木暮が座ったのを確認した春奈が「全くもう…」と腰をおろした瞬間もの凄い音がキャラバン内に響いた。どうやら木暮にブーブークッションをしかけられていたようだ。羞恥心で顔を真っ赤にした春奈の「木暮くーん!!」という金切声に近い悲鳴が木霊した。

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作者名:南極 | 作成日時:2019年11月29日 20時

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