蒼い月の詩 (ページ11)

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11話ページ11

キャラバンに乗った蒼龍を塔子が手招きした
「あたしの隣座ってよ！蒼龍と沢山話したいんだ！いいだろ円堂！」
「あぁもちろん！俺も蒼龍と話したいこと沢山あるんだ！」
『ありがとう！それじゃお言葉に甘えて』

　鞄を奥にを置き袋を持った状態で円堂と塔子の間に座ると塔子が「それなにはいってんの？」と袋を覗きこんだ。

『これね、』
「やっぱ食べ物ッスカ？」
『お！当たり！正解した君にはこれをあげよう』

　袋に入っていたのは大量のおかし。最後までチョコたっぷりのアレ、グミ、クッキー、東北限定のずんだ味のチョコ、地元名物のふわふわの生地の中にカスタードクリームが入ったおかしなどなど…。
　正解した壁山におかしをあげるため席をたちガサガサと音をたてながらお目当てのおかしを引っ張り出す。
『はい、どーぞ』
　差し出されたのはのり塩のポテチ。壁山は礼を言うと嬉しそうにその場で開封し食べ始めた。

「なんでそんなにあるんだ？」
『私が部室に隠し……置いてたのを持ってきてくれてね、いつ帰ってくるか分からないし賞味期限あるからって』
「隠してたのか」
『違う、置いてた』
「さっき隠してって言ってたぞ」
『それは幻聴だ』

　実際、お菓子は隠していた。ロッカーの奥の方に隠していたはずなのに間宮はなぜ分かったのか蒼龍は疑問だ。
　隠していたのは以前、部活が始まる前に小腹が空いたときに食べようと思ってあらかじめ置いていたおかしを食べていた所を真面目で堅物な片倉に見られ散々怒られたからである。

『見つかると小太郎に怒られるし…』
「いや、なら持ってくるなよ」
　土門がつっこんだ。つっこみというより正論である。さすが常識人(勝手に作者がそう思っているだけだが)

『お腹が空く…』
「マネージャーにおにぎり用意してもらうとかお願いしなかったのか？」
「雷門はそうだったぞ」と風丸が座席から顔を出して聞いた。

『うちはマネージャーは愛一人しかいないから余計な負担かけたくないんだ。10人以上のドリンクを一人で作るの大変だろ？それに加えて自分のわがままを聞いてもらうのはな…悪いよ…』
「蒼龍さんは仲間思いなんですね」
「だからあんなに信頼されているわけね」

　マネージャーは蒼龍の話を聞きながら小声で話した。

　瞳子もキャラバンに乗り稲妻町へ戻るためにそろそろ出発することになった。最後にもう一度バイバイと窓越しにチームメイトに手を振り蒼龍を乗せたイナズマキャラバンは摺揚原学園を後にした。