もう、誰かを傷つけるのは嫌だ。だから、声を、捨てる。

なくなった声10 ページ10

出産間近の猫がいるなんて大嘘。

中に入ってるのはスーツ。それから書類やらなにやら。
バックの中にそれらを入れてあとは上の方に猫缶やタオルを詰めただけ。僕、頭いいでしょ？

声がでないのは困るから、デカパンから一時的に声がでる薬を貰った。

それは飲み続ければ声が戻るそうだ。

もともと声がでないでほしいと願ったのは兄弟のためだ。
だって、俺の声は、言葉は皆を傷つけるのだから。

それだけはいやだった。大切で大好きな兄弟を傷つけたい奴なんていないだろ？

僕もそうだから。闇人形なんて言われてるけどね。

働けるようになったら声がでるようにこの薬を飲み続けるつもりだ。

効果は五時間。少々長いがまぁ、念のためにな。五時間は続くようにデカパンにねだった


あと、新居も、探さないとな。赤塚区からは離れた場所に。
さみしいな。でも、早く、なるべく早く離れて、皆にこれでよかったのだと思わせてあげたい。

それから俺はハロワにへと顔を出した。
隣町の隣町の隣町の猫カフェなどでお願いしますと言った。

あ、この人、就職の時にいた人だ。ﾋﾋｯ、ビックリしてるよ。まともなこと言えるんだみたいな目してる。


男「えーと、猫カフェですね。あー、でも、君、料理もできるのか。
なら、ここの猫カフェとか悪くないよ。
ほら、料理できる人必要みたいだし。できる人と出来ない人じゃあ５００円くらい時給が違ってくるし。いいと思うよ？」



５００円はでかいな。
だから、俺は迷わず


一「はい、そこで、よろしくお願いします」っていった。


この人、案外いい人だな。前なんかすんごい形相で、会話してたくせに

ハロワにチョロ松兄さんが来ないように友達(猫)に歯止めをかけるよう頼んでおいた。
だいたい、５０人(匹)はいるかな


松野さんと呼ばれたので、声のする方へと行くと、さっきの男の人から取り敢えず合否は、どうかは後日と言われた。

まだ、一時間しか経ってない。あと、四時間。
なら、新居でも、見に行くか


隣町の隣町の隣町に行くために電車乗った。
金はなんとか、間に合いそうだ。

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