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「ママ…パパ……。私お願いがあるんです。」
いつものようにテレビから賑やかな笑い声が聞こえる
でもそんな騒がしい音よりも自分の心音の方がでかい自信があった
進路だって適当に決めて、こうやって親と……ううん。もしかしたら誰相手にも面と向き合って真面目に話したことなんかなかった
だって恥ずかしいし、緊張するし、しないにこしたことなんかない
パパがオドオドと首を振り、ママは静かに箸を置いた
その様子を確認したパパが慌てた様子でテレビを消して、まるで何事も無かったかのように椅子に座り直した
2人の視線が集まって、否応なしに冷や汗が落ちる
膝の上で握っている拳は手汗まみれで、これが手に汗を握る。て状況なんだなって思った
「あ、あのね……。お金を貸してほしいの
ちゃんと真面目に働いて返すって約束するし、これからは無駄使いもしない。」
「お金…?」
「A、それはなんのために使うものなの?ちゃんと説明してもらわなきゃ、お母さんたちもそう簡単には出せないわよ」
分かっていたけど、でも二言返事でいいよと言ってくれればどんなに楽だったか
こうやって楽することばかり考えているから、今私は何も力を持っていないんだけど
「結構な大金だと思う。天月がね、親の借金を肩代わりしていて大変なの。
きっと助けても言えないほど苦しんでるの。
だから私、何とかしたくて……してあげたくて」
「それは天月くんに頼まれたの…?」
「……頼まれて…ないです」
「……A。お金をそう易々と人には工面できないわ
あなたもそれは分かっていると思うけど。
だからこそ色々な手続きだったり制約だったりを設けるんでしょ?
それを、あなたの勝手で天月くんにお金を……それも大金を出すことはうちではしません。」
「でも……天月、本当に苦しんでて…このままじゃ死んじゃう」
「……天月くんをまずここに連れてきなさい。話はそれからでしょ」
「でもっ!」
ママの言ってることが正しいって分かってしまってる
理解してしまっている
だからそれをひっくり返す言葉がない
「そうだぞ、Aの気持ちもわかるけど…頼まれてもいないことをやる範囲を超えている
……とりあえず天月くんと話してきなさい
俺たちはそれからだったらできる限りの協力はするから」
「それじゃ…間に合わないんだよ…」
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パール(プロフ) - Reさん» こちらこそ、お読みいただきありがとうございます、です!更新頑張ります! (2021年6月20日 17時) (レス) id: ced046ff92 (このIDを非表示/違反報告)
パール(プロフ) - 粉雪さん» あぁぁ、ありがとうございます。日を空けてもそのようなことを言って下さり、感無量です。完結までここまま一気にすすめますね! (2021年6月20日 17時) (レス) id: ced046ff92 (このIDを非表示/違反報告)
パール(プロフ) - VIIIさん» 返信が大変おくれました。好きだと言ってくださる方のおかげで、ようやっと続きを書く意欲が湧きました。日々感謝です。ありがとうございます。 (2021年6月20日 17時) (レス) id: ced046ff92 (このIDを非表示/違反報告)
パール(プロフ) - 桜餅さん» とても返信が遅くなりました。いつもありがとうございます。お気に入り登録とても励みになりますっ! (2021年6月20日 17時) (レス) id: ced046ff92 (このIDを非表示/違反報告)
Re - めっちゃひきこまれました…!続きめっちゃ気になります!素晴らしい作品をありがとうございます!!!!! (2021年6月7日 23時) (レス) id: 5a5fc15822 (このIDを非表示/違反報告)
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