過 保 護 の パパ ２【まふまふ】

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天月さんが先生と一緒に戻ってきた

天月さんはいつもの優しい笑顔でこちらに来てくれる





あー、本当に迷惑かけてしまったな。




天月さんは優しいから文句なんて言わないだろうけど、こんな忙しい時間に関係の無い子を迎えに行くなんて面倒臭いに決まってる



私なら絶対に嫌だ




これもどれもパパが迎えに来てくれないのが悪いのだ




そう思うと無性に悲しくなってきて、鼻の裏がツンとする


慌てて膝の上にある手に力を込めて流れ出る感情に耐えた





｢帰ろっか｣




天月さんの大きな手が私の手を包む
私が熱いからかもしれないけど、天月さんの手は冷たくてとても心地よい



天月さんは私の荷物を持ち上げると今度は腕を出してくれる




｢歩ける？｣





捕まっていいということだろうか
パパよりも何倍も筋肉がありそうで、でも細めで


あー王子様みたいだ



なんてお姫様にでもなった気分




ふわふわする手を持ち上げて天月さんの腕に縋りながら立ち上がった



ぐわーんっと世界が回る感覚に必死に耐えて、天月さんの方を見上げると
収まるまで待ってくれたのか、天月さんはこちらの様子を伺っていた





｢大丈夫？｣




｢はい、ありがとうございます｣




完全に体重を天月さんに任せてしまっているが、今の私にはどうすることも出来ない


先生にも小さく頭を下げて、ありがとうございました。とお礼を言った



こんな業務外の時間まで残らせてしまって本当に申し訳ない思いでいっぱいだ







私に合わせたゆっくりな速度で学校を出る

門にタクシーが止まっているのが見えて、多分天月さんが呼んでくれたのだろう




｢あの、本当にごめんなさい。｣




なにからなにまで嫌な顔ひとつせず助けてくれる天月さんに、罪悪感と悔しさと申し訳なさで心がいっぱいだ




｢ううん、俺も暇してたし。
Aちゃんのピンチに駆けつけられてよかったよ｣




その優しい言葉も全部痛くて……重くて、苦しい。



無理をしてそう言ってくれているのではないだろうか
本当は嫌だけどこれが大人の社交辞令と言うやつなのではないだろうか




そんな負のスパイラルが足にまとわりついて、どんどんと足取りが重くなっていくばかりだ

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