まっくろな君 〜影浦雅人〜 Ver.2

episode53 〜辻新之助〜 ページ9

ー影浦視点ー

辻が着た。
…っつー事は。

ﾄﾞﾄﾞﾝ…！

ﾊﾞｯと音のした方を見ると、緊急脱出の時の流れ星が2つ。

…できれば2つとも二宮隊がいいが、そう都合よくはいかねぇ。

『ごめーんカゲ！にのさんのﾌﾙｱﾀｯｸでやられちゃったよ〜！』

『俺も…』

どうやら2つとも俺の隊だったらしい。
そして、また1つ緊急脱出の流れ星があがった。

もし、Aだったら…

ないとは思っているが、万が一の事がある。

しかしそれは杞憂だった様で、

「カゲ！香取さん倒した〜」

なんて呑気な顔して俺の方にやってきた。

「よくやった」

と言い、雑に頭を撫でてやれば、髪がバサバサになるとか文句を言いながらも、「褒められて嬉しい」と言った感情が刺さってきた。

…あ。そういや辻ってよ…

確か女子苦手だったよな。

俺はAを撫でながらそんな事を思い出していた。

「おいA。お前は辻をやれ。あの黒スーツだ。俺は後からくる黒スーツどもをやる。」

「え？あの黒スーツの人って二宮隊じゃないの？強いんじゃないの？」

Aが不思議そうに見つめてくる。

「いーから。お前ならいけるから、試しにやってみろって。」

俺の考えは当たり、Aが辻を見た瞬間、辻は顔を真っ赤にしてアタフタし始めた。

「え、ええ？！か、影浦隊にじょ、じょじょzyo、女子が…」

よし。こりゃ瞬殺でいける。

と思ったのと、Aがアステロイドのキューブを出した瞬間。

ﾄﾞｶﾞｱｱｱｱｱ！

近くの建物が吹き飛んだ。

「あれれ〜？辻ちゃん顔真っ赤じゃーん。あ、Aちゃんがいるからかー」

「辻。遅くなったな。」

「犬飼先輩！二宮さん！」

明らかにホッとした様子の辻。

ﾁｯ､しまった。
二宮隊が揃っちまったか…


ま、クソ犬の右腕と左足は、ねぇけど。

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