黒バス【キセキ】 チームの強さと１人の強さ

エピローグ ページ44

コートを羽織ることもせず、行き交う人にぶつかりながら、外に出た。


ーーあんな試合見てたら、いてもたってもいられなかった。


冬の空気は鋭く冷たい。


ーーでも、澄み渡っていた。


空も、高く澄み渡っていた。


辺りを見渡す。


並木道、犬の散歩をしてる人、小さな公園。


何気ない風景。


それらを一瞥して、そして、私は。


ーーーーーーーーー走り出した。


行き先は決まってない。


ただただ、走りたかった。


靴はブーツ。ヒールが高くないけれど、走るには適してなさ過ぎる靴。


服だって、ニットとジーパン。


内側にはヒートテック。


馬鹿みたいに、走ればすぐ汗が滲んだ。


ーーああ、走り方なんて、今はどうでもいい。


走りたい。


走っていたい。


速く、もっと速く、もっと！


フォームも息継ぎもバラバラ。


すぐに息があがって、すごく苦しい。


でも、走っていたい。


今まで走ってなかった分、走りたい。


速く、速く。


もっと速く。


決して速い訳では無いが、私は地面を蹴って走る。


過ぎ行く風景。


行き交う人々。


ーーーあの頃、見ていた、風景だ。


初めて見る場所なのに、走って走って、過ぎ行くその景色は、とても懐かしく感じた。


走りながら私は考える。


明日は筋肉痛だろう。


あ(ーーそしたら、またお風呂上がりにストレッチしよ。


メニューも、初心者位の量にしよう。


基礎からもう一度やって、それから少しずつ走る距離を調節して.......。


ああ、シューズもウェアも買い直そう。


腕時計も、最新のやつにして。


食事制限ももう一度見直そう。


部活、今更だけど入れるかな？


あとは、それから.......あれも......えぇと.......)


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際限なく、思いは溢れていった。





ーーーーーー走りたい。






ーーーーーーーーーーーもっと、速く。

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