reconciliation*36 ページ41
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その後、タイムが戻っても、伸びることは無かった。
今まで、努力すればしただけ速く走れた。
風を感じて、風に乗って、どこまでも速く走れるような感覚になって、走れた。
地面を踏みしめて、地面を蹴って、一歩がとても充実した走りが出来ていた。
ーーーー今まで、は。
出来ていたのに。
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私は、人生初。
スランプというものに陥ってしまったのだ。
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陸上を題材にした小説を、読んだことはあるだろうか?
半端なもので無い限り、そこには、必ずといっていいほど登場人物が、スランプに苦悩する姿が描かれているだろう。
スポーツをしている人なら、必ず味わうスランプ。
野球なら、球がストライクゾーンに入らないだとか。
バスケやサッカーなら、シュートが決まらないだとか。
記録が伸びない、思うようにならない。
己の限界まで、努力しているのに。
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記録会にも時々出た。
でも、今では南森さんにあっさり1位を奪われるくらいダメになってしまった。
走っても走っても、満足する記録が出ない。
走っても走っても、悔しい。
ーーーーそう、悔しい。
《こう》なって初めて、今までの自分が甘かったんだと分かった。
私は実際、速かった。
速くて、努力だって怠らなかった。
ーーーでも、何かが欠けていた。
その何かは、今の自分には有り余っている。
有り余っていて、こんなものいらないと思うほど有り余っている。
それが、《悔しさ》。
南森さんに1位を奪われた時、ハッキリ感じた悔しさ。
その中には、今までなら感じなかった嫉妬も、羨みも、妬みも、ひがみも含まれていた。
『ブランクがあるんだもの、1位じゃなくて当然だ』
こんなこと思う自分が居て、さらに
『そんなこと思うなんて、努力が足りないんじゃないの?』
って自分自身を貶す自分も居て。
『努力!?してるっつーの!今まで以上に、やってるのに!』
って、地団駄踏む自分も居て。
そして、最後に。
『なんで走れないんだろ、なんでだろ。
ーーーーーーーーー嫌だなぁ、走るの』
と、思ってしまう自分が居るんだ。
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結局、私は引退後、これといった記録を残すことなく。
記録会にも出なくなり。
ーーー陸上界から姿を消し。
走ることを止めて、そのまま高校に進学した。
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柚音(プロフ) - ヒロさん» 返信、大変遅れて申し訳ございません! 14分でも充分速いですよ! (2014年5月4日 20時) (レス) id: 986a1cbece (このIDを非表示/違反報告)
ヒロ - うっわ!!夢主ちゃん3000m早!!スッゴイですね!私もやってみた(部活で)んですが14'××みたいなところですかね? (2013年10月13日 22時) (レス) id: 837442964a (このIDを非表示/違反報告)
柚音(プロフ) - ハルヤさん» 楽しんで頂けたらなによりです!こちらこそありがとうございました! 他にも小説かけもちしてますよ!戻るもなにも、現役ですよ(`・ω・´)!良ければそちらもどうぞ(*´∀`) (2013年10月13日 22時) (レス) id: 986a1cbece (このIDを非表示/違反報告)
ハルヤ - 最後まで楽しませて頂きました! ありがとうございます。また、いつか戻ってきてくださいね、 (2013年10月13日 21時) (レス) id: 660fff0e4e (このIDを非表示/違反報告)
つくし - 柚音さん» 絡みないままでも構いませんよwだって他のキセキと絡んでる所見たことないのでwでも、ミドリンは覚えてそうですなw無理やり終わらせた感より、凄く良い終わらせ方だと思います。読者は夢主はどうなったのかって考えたくなるのでw素晴らしい小説ありがとうございました! (2013年10月6日 14時) (レス) id: 74e1e11411 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:柚音 | 作成日時:2013年5月23日 21時