【カゲプロ】心って簡単に開けるもんじゃないですよね 第二部

55.目覚め in 自室 ページ22

昔の、夢を見た。

まだなかがよかった頃の家族の夢。

今じゃ考えられない位幸せそうに微笑む母に、とても優しい父。

これはきっと、初めて家族で旅行に行った時だ。


あの頃に戻りたい……なんて思ってみたりして。


昔はもっと純粋で、明るくて、素直で……なのに私は、いつの間にこんなに汚れてしまったんだろう？

思い当たる理由なんて沢山あるけど、やっぱり、一番の原因はこの目のせいなんだろうな。

そりゃそうだ。

こんな気味の悪い女、誰も必要となんかしない。

必要とされなければ、徐々に人は変わっていく。

少なくとも、私はそう思っている。


私は誰にも必要とされない、要らない人間なんだ。
そう……要らない人間。
私は、一人だ。
じゃあ、そんな要らない人間の私は生きてる意味なんてあるのかな……？


なんて考えてみたりしても、結局答えなんて出ない。

むしろ、疑問は増えるだけ。

それがいくつもいくつも積み重なって、今の私がいる。


もう訳が解らない。


そんなとき、ふと私はあることに気付く。

……何で、泣いてるんだろう。


益々訳が解らない。

そもそもここは夢のなかのハズなのに、自分の意思がちゃんとある。


主「本当に……訳が解らないです」


小さく呟いてみる。

別に何かが変わる訳じゃないのに。

そして、私はもうひとつの事に気付く。


……誰かが私を呼んでいる。


「A、A……」


小さな声だけど、ハッキリ聞こえた。

何処か懐かしい、確かに聞き覚えのある声。


その声に吸い寄せられる様に、だんだんと意識が覚醒していく。


そして最後に、直接脳に響く様に聞こえた言葉。




「貴女は、けして一人なんかじゃないよ」





ハッとして目が覚める。

夢のハズなのに、やけに鮮明に覚えている。

一体、最後の声は……。


ふと、近くの机を見ると、一通の手紙が置いていた。

深く考えもせず私はその手紙を開ける。


そして、思わず言葉を漏らした。



主「嘘……でしょ？何で……？」

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