【ﾊｲｷｭｰ!!】バレーの王子様 Vol.3【男主】

第６９話：めんどくさい彼 ページ6

「お、大路さん！」

山口からのトス。山口らしい、精一杯気を使っているトスだ。
これ決めなきゃ、こいつらの慕ってくれる先輩でいたい。

スパイクのモーションに入って、空中。
目の前には成田と縁下のブロック。
あ、見えた。

成田の指先。そこを弾いたボールは大きく後ろへ飛ばされて行った。


「大路さんナイスです！」
「すごい！すごいです！」
『ありがと。芝山くんもナイスレシーブ、山口もいいトスありがとう』

にっこり笑って言えば、二人も照れたように笑った。
今の１点がこちらに入ったことで１０ー７。
俺の足のことも考えて、１０点先取のルールだ。

『勝ち！』
「負けたー！くそー！」

連合チームで喜びを分かち合った後、孝支にピースすれば、悔しそうに笑う。

「大丈夫？」

孝支が小声でひっそりときく。
その”大丈夫”の意味はきっと俺の足を気遣っている。
みんなに余計な心配をかけないように小声で。

『大丈夫だよ。ありがと』
「そっか、よかった」

だから俺も小声で返せば、心底ホッとしたように笑った。



「大路さんが跳んだー！！！」
『えっ』

いつの間にかギャラリーがいたらしい。
試合を終えていた烏野と音駒レギュラー陣が思い思いの行動をしていた。

目をキラキラさせながら走ってくる日向。
あ、そう言えば日向の前で跳んだことなかったっけ。

「最後の！手弾くやつ！ドーンってなってバンって！」
『ん？ん？つまり？』
「小さな巨人みたいでした！！！」

ああこれは日向の最大の褒めだ。喜んでいいやつか。
日向らしい擬音だらけの感想に思わず笑ってしまう。

「大路さん」
『なんでしょう影山さん』

ちょっと顔怖いんですけど。

「なんで俺のトスより先に山口のトス打ってんすか」
『えー』

機敏に近寄ってきたかと思えば、わけわからな、くもないことで怒ってる。

『今度打たせてよ。ね？今度』
「今度っていつですか」
『次の練習の時、とか』
「とかってなんですか。練習時間以外でもバレーしてくれるんですか」
『えー』

めんどくさい彼女かお前は。

おそらく意図していないんだろうけど、不満さ全開の顔で呟くそれに苦笑いをして。
思わず突っ込まずにはいられなかった。





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