うちのマネは女装男子でした５【男主】

171話 ページ27

縁下side





『……好きな人、とかそういうのは…いないです。



…いないですけど代わりに夢中になってて、



一生俺はコイツから離れられないんだなーっていうのはあります』





「えぇ！？なんと！これは熱愛宣言と捉えていいんでしょうか！？」





『んー…まあ、そんな感じ？ですかね？』







【言う理由も必要性もないじゃないですか】







仲間である俺たちに天才だと崇められることを恐れているかのように思えるあの悲しげな表情と声が焼きついて離れない。



………それでも…



……それでも、コイツは……





.






『俺はバレーを愛してます』






.






今まで見たことのないような輝く笑顔で



Aはそう答えた








『バレーのない人生とか考えらんない。



そんくらい、俺はバレーが好き。



とにかくめちゃくちゃ大好き』








背中の方に手をやり、何かクイクイと動かしている。



それを終えると、バサッとドレスが脱げた。



その下に着ているのは…







縁下 (！……ユニフォーム…！)







黒地にオレンジの線が入っている、



俺たちバレー部のユニフォームだった








『俺、不器用だから多分バレーと同時に他にも恋すんの無理だと思うんですよ。



そんくらい、俺はいっぱいいっぱいなんです。



その代わり……』








舞台のカーテンに隠れていたらしい何かをヒョイと取り上げる。




……バレーボールだ。









『俺はバレーに自分の全てを捧げます』









バレーボールに軽く唇を押し当てた。




優勝記念に贈られた花束を




Aはいたずらっ子のように笑いながら




客席の方に投げ飛ばし、








.







『烏野バレー部は！！全国に行きます！！！』









.









手を振って退場していった。

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