第246話 新たな危機 ページ5
戦闘の方法を決めるとき、アステラス王国が圧倒的不利にならないようにルールを決めた。
フィアをマリーナ王国で預かっている間、何かと世話を焼いていた。そして、戦闘では怪しまれない程度に加減をして戦った。
リゼはリゼなりに、フィアを守ろうとしていた。小さい頃、兄に命令されて一緒になって妹をいじめてしまった事に、後ろめたさを感じていたのだろう。
──その兄の気持ちに、フィアは気づいていたのだ。
リゼはうっすらと瞳に涙を浮かべていたが、それをごしごしと拭うと、いつものいたずらっぽい笑みを浮かべた。
「あははっ。本気でやってたら、フィアたち確実に負けてたもんね〜。僕ってば寛大〜」
「くぅっ………また模擬戦やるわよ！ その時は全力で来なさいよね！ まあ、それでも勝つのはあたしだけど！！」
楽しげに話す兄妹の様子を隣で眺めながら、マリアは微笑ましく思っていた。
(よかった、フィアがお兄さんと仲直りできて。いいなぁ…私もいつか、あんな風に……)
やがて、出発の時間が迫り、船に乗り込もうとしたリゼが切り出した。
「本当は、兄さんも一緒に連れて来たかったんだ。でも、あの戦闘の後から部屋に引き込もってしまってね……」
「……」
フィアが、途端に不機嫌になり俯くのを見て、リゼは表情を曇らせた。
「許せないのはわかるよ。
マリーナでは、昔から女性を蔑視する風潮があって、特に王宮ではそれが徹底して教育されたからね。僕は適当に聞き流してたけど、兄さんは変に単純で優等生だから、教えを信じ込んで、そのまま大人になってしまったんだ。
…でもね、一度はその考えを改めようとしてたんだよ。ある女性の影響でね」
「ある女性……？」
マリアが反応すると、リゼは静かな声音で告げる。
「兄さんの婚約者だよ。危険生物討伐の旅で出会って、二人は恋に落ちたんだ。でも、いつからか彼女は様子が変わって、自分の事を“聖母マリア”と名乗るようになった」
「！」 「聖母マリアですって…？」
マリアに続き、下を向いていたフィアも顔を上げ、驚愕の表情を浮かべた。
「だけど今回の戦闘で、聖母マリアは君─女王マリアの中に宿っていることがわかった。あの時見せられたものは、神話に出てくる聖母の力そのものだったからね。
彼女には他のものが取り憑いている。正体がバレたから、何か新しい動きを見せるかもしれない。君たちも気をつけた方が良いよ」
そう言い残し、リゼは去って行った。
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ちぇりい(プロフ) - ネコ２世さん» ありがとうございます！！！マギも完結しましたし、まだこの小説を読んでくださっている方がいることに驚き、とても嬉しいです！ 頑張って完結させますね！！ (2022年1月27日 23時) (
レス) id: 3c2f248552 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりい(プロフ) - みっちゃんさん» まだですが、頑張ります！！ (2022年1月27日 23時) (レス) id: 3c2f248552 (このIDを非表示/違反報告)
ネコ２世(プロフ) - この作品を読んでいてファンになりました！美少女達の恋の行方や世界を救えるのかなど続きが気になります！ (2022年1月24日 5時) (レス) @page40 id: 70e333ef08 (このIDを非表示/違反報告)
みっちゃん - これって物語完結したんでしょうか？ (2021年4月28日 23時) (レス) id: 9e3370e2e5 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりい(プロフ) - (＊∀＊)ノさん» コメントすごく嬉しいです！！ありがとうございます！！ 大好きになっていただけてかなり嬉しいです！ 今後もマリアの活躍を楽しみにしていてください。 (2019年4月15日 0時) (レス) id: 3c2f248552 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちぇりい | 作成日時：2018年3月30日 16時
