第89話 実力差 ページ9
的を
煌帝国側の弓術士・忠雲は、呼吸を整えると、力強く弓を引いた。
矢は弧を描くように標的へと向かい―――、
見事、的の中心を抉った。
ワッと周囲から歓声が上がる。
「お〜。やるじゃん忠雲ちゃん」
フィアは、その高い技術に唖然とした。自身の焦りをも忘れ、ただただ敵の弓術に魅入った。
(何あれ…動く的を狙うだけでも難しいっていうのに…中心に当てるなんて……)
2羽目の鷹が飛んでくる。
忠雲は間髪入れずに次の矢を放つと、またしても中心に留まった。
(アイツ…すごい……！)
3回のうち1回でも当たれば勝利。その条件を、煌帝国側は既に満たしていた。
忠雲は、フィアたちに見せつけるかのように、最後の矢を華麗に放つ。
トッと音を立てて、それは迷う事なく鋭く命中した。鷹が声高く鳴いて、地面に降り立つ。
フィアは瞬きもせずにその光景を見つめていた。
(3回とも命中って、何よこの腕前…
これじゃ、あたしなんか足元にも……)
「…ちゃん、フィアちゃん！」
「えっ!? あ、ああ…何よ、レイラ……」
自分の世界に入り込んでいた少女は、何度も呼ばれていた事に気が付かなかったようだ。
「大丈夫？ 次はフィアちゃんの番よ。準備をお願い」
「ああね！ 任せなさい。行ってくるわ！」
フィアは自信満々に笑ってみせるが、その顔は少しひきつっていた。
「がんばれ！ フィア！」
「練習通りやれば大丈夫だよ」
仲間たちの声援も、全く耳に入ってこない。
鼓動が早くなる。息が詰まり、胸が苦しくなる。
震える手で、弓矢を握りしめ、構える。
バサバサッと、鷹の羽ばたきが聞こえた。
フィアは音が聞こえた方向を振り向くと、真っ直ぐに矢を飛ばした。
「当たれぇぇええぇーっ！」
しかし、矢は命中するどころか、的にかすりもせず、遥か遠くに落ちた。
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ちぇりい(プロフ) - のどかさん» コメントありがとうございます！ 続きを更新できるように頑張りますので、これからもよろしくお願いします！ (2015年11月5日 6時) (
レス) id: 19c12415ef (このIDを非表示/違反報告)
のどか(プロフ) - お久しぶりです！この小説も第三弾ですね、前回の展開がやばすぎて（フィアちゃんかっこよすぎですよ。）これからも頑張ってください！続きが気になって仕方ないですー！ (2015年11月3日 22時) (レス) id: c4d22bd61b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちぇりい | 作成日時：2015年11月1日 17時
