第88話 Hit even the fate! ページ8
いよいよ、弓術勝負当日――
予め決められていた場所に、各陣営が集まる。そこは、禁城の射場ではなく、城から少し離れた山の中だった。
余裕そうな練紅炎チームに対し、マリアたちは緊張した面持ちだ。
練紅明が、勝負の開始を宣言する。
「只今より、アステラス王国の戦士フィア殿と、私の眷族である弓術士、忠雲の弓術勝負を行います。先日の取り決め通り、一人3回ずつ的を射て、1回命中すれば勝利とします。フィア殿が全て矢を外せば我らの勝ち。一発でも当てればアステラス王国側の勝利となります」
フィアは、ごくりと唾を飲んだ。
(1回……たったの1回よ。練習した通りやれば、楽勝じゃない)
「普通の勝負では少々易しすぎると思いましたので、こちらで対戦方式を改めさせて頂きました」
「何それ!? 突然変えるなんて卑怯よ!」
抗議の声を上げるフィアを、レイラが小声でいさめた。
「フィアちゃん。煌帝国はルカの不遜に対して妥協してくれたのよ。つまり立場的に下なのは私たち。黙って従った方が良いわ」
「っ……わかったわよ! でも………」
紅炎がフィアを一瞥して、からかうように尋ねた。
「勝てる自信が無いのか?」
「はぁ? そ、そんなワケないでしょ!? このあたしを誰だと思ってるの!?」
「では早速勝負を始めて貰おうか。実に楽しみだな、女王マリア」
紅炎は偉そうに腕組みをして、棒立ちになっているマリアに話を振った。
声をかけられた少女は、何と言ったら良いかわからず、困った様に頷く。
「え……あ………はい」
◇◇◇
まずは、煌帝国側の弓術士忠雲が持ち場についた。
対戦方式は弓術勝負という事には変わりないのだが、固定されている的を決められた位置から射るのでなく、的を鷹にくわえさせ、空中を動き回らせ、その的を狙うという事だった。
準備をしている忠雲を、後ろで見物している青秀が囃し立てる。
「忠雲ちゃん。子供に負けたら恥ずかしいぜ〜?」
「負けないから大丈夫だ」
それを聞いていたフィアがぷんすか怒り出した。
「な!? 勝つのはあたしに決まってるじゃない根暗男! 大体前髪で目隠れてるくせに弓術やってること自体おかしいのよ!」
さっきから煌帝国の大人たちに惑わされ過ぎである。
忠雲はそんな少女をよそに、弓を張ると、紅明と軽くアイコンタクトを取り、頷いた。
「準備が整った様ですね。では始めましょうか」
紅明の合図で、側に控えていた兵士が鷹を飛ばした。
38人がお気に入り
感想を書こう!(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ちぇりい(プロフ) - のどかさん» コメントありがとうございます! 続きを更新できるように頑張りますので、これからもよろしくお願いします! (2015年11月5日 6時) (レス) id: 19c12415ef (このIDを非表示/違反報告)
のどか(プロフ) - お久しぶりです!この小説も第三弾ですね、前回の展開がやばすぎて(フィアちゃんかっこよすぎですよ。)これからも頑張ってください!続きが気になって仕方ないですー! (2015年11月3日 22時) (レス) id: c4d22bd61b (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名:ちぇりい | 作成日時:2015年11月1日 17時