第117話 歴史を受け継ぐために ページ40
「ところで女王様、今日はどういったご用件でいらしたのですか？」
「あの…実は、ビアンカという織物について調べに来たんです。発祥地であるこのカミディア村の方なら知っていると思って……マーサさんから、この織物をもらったんですけど、彼女は職人だったんですか？」
マリアが繊細な編み模様の膝掛けを差し出すと、カロルは懐かしそうにそれを手に取った。
「まあ…これは……！ あの子は職人ではなかったのだけれど、私の母から教わった技でいつも織物を作っていたんです。家にもいくつか似たような物がありますよ」
そう言ってカロルは古びた茶色の
「わあ…綺麗！ やっぱり、 こんな素敵なものを埋もれさせてしまうなんてもったいないです。
…カロルさん、私たちはビアンカを復活させ、アステラス王国の主な交易品にしようと思っているんです」
マリアのその言葉を聞いて、カロルは目を見開いた。
「まあ！ 本当にそんなことが可能なのですか？
だとしたら、とても光栄なことです…！ 私たちも、先祖代々受け継がれてきたビアンカが廃れていくことを、残念に思っていましたから。
私たちで良ければ協力いたします。この村には職人がまだまだおりますので」
「本当ですか!? ありがとうございます！」
マリアは歓喜の表情を浮かべ、何度も何度も頭を下げた。隣でレイラが微笑む。
「初めはどうかと思ったけど、職人はいるみたいだし、なんとかなりそうね。カロルさん、その話、もう少し詳しく聞いてもいいかしら」
「はい。実は…」
◇◇◇
ビアンカや職人について一通り聞き終えたマリアたちは、帰る支度をしてカロルの家の玄関に立っていた。
「今日は本当にありがとうございました、カロルさん。絶対にビアンカを復活させて、国を豊かにしてみせます！」
「はい。楽しみにしています。
女王様、一つだけお聞きしたいことが……」
「なんですか？」
「マーサは、元気ですか？」
それを聞いて、マリアは何と言って良いかわからず、黙り込んだ。正当防衛とはいえ、自分が手を下してしまったのだ。
俯くマリアを見て、カロルは続ける。
第118話 彼女が生きた証→←第116話 いざ、カミディア村へ
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ちぇりい(プロフ) - のどかさん» コメントありがとうございます！ 続きを更新できるように頑張りますので、これからもよろしくお願いします！ (2015年11月5日 6時) (
レス) id: 19c12415ef (このIDを非表示/違反報告)
のどか(プロフ) - お久しぶりです！この小説も第三弾ですね、前回の展開がやばすぎて（フィアちゃんかっこよすぎですよ。）これからも頑張ってください！続きが気になって仕方ないですー！ (2015年11月3日 22時) (レス) id: c4d22bd61b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちぇりい | 作成日時：2015年11月1日 17時
