第111話 歩み寄る努力 ページ34
「だから、新しいメンバーで国を引っ張っていかなきゃね。頑張ろうね、トラちゃん」
張り切る女王にジト目を向ける少女。
「……そのためにはまず輸出する商品を考えて」
「う…」 がっくりと肩を落とすマリア。
「じゃあ、私は作業があるから」
そう淡々と言って、トラルークは早歩きでその場をあとにした。
「作業って…ああ、あれかぁ」
なぜか苦笑する女王様。
「マリア!」
後ろからやってきたルカとレイラが彼女の肩をぽん、と叩いた。特別な役職以外で会議に参加しているのはこの二人のみだ。ちなみにトラルークには一応研究者という立場が与えられている。まだ子供のメイとフィアは今まで退屈だったらしく、居眠りや落書きをしていたので、今回の会議からはお部屋でお留守番だ。
「大丈夫?」
心配そうにマリアの顔を覗き込むレイラ。
「え? 何がですか?」
遠慮がちにルカが答える。
「いや、あのな…トラルークはなんというか、冷たい感じだろう? だからその、お前も気を使って疲れているのではないかと思ってな」
そう言われてマリアは目をぱちくりしていたが、すぐに微笑みを返す。
「心配してくれてありがとう。でも私はもう慣れてるから大丈夫だよ。それに、トラちゃんには良いところもたくさんあるんだよ。会議の資料だって、わざわざ自分で用意してくれてるし、アステラス王国のことだってよく調べてくれてる。とってもがんばり屋さんなんだよ。ただ、ちょっと不器用なだけ。ルカたちもきっとすぐに仲良くなれるよ」
それを聞いて、ルカとレイラは安心したように顔を見合わせた。
「そうね、マリアちゃんがそう言うなら…」
「私たちも努力してみるとしよう」
安心したマリアが満面の笑みを浮かべる。
「ありがとう。二人とも!」
「だが、問題はフィアだな。この間、『絶対に認めない』という様な事を言っていたし……」
「だよねぇ…」
マリアは、ぷんすかと怒るフィアの姿を思い浮かべてうーん、と唸った。
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ちぇりい(プロフ) - のどかさん» コメントありがとうございます! 続きを更新できるように頑張りますので、これからもよろしくお願いします! (2015年11月5日 6時) (レス) id: 19c12415ef (このIDを非表示/違反報告)
のどか(プロフ) - お久しぶりです!この小説も第三弾ですね、前回の展開がやばすぎて(フィアちゃんかっこよすぎですよ。)これからも頑張ってください!続きが気になって仕方ないですー! (2015年11月3日 22時) (レス) id: c4d22bd61b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちぇりい | 作成日時:2015年11月1日 17時