第110話 再START!! ページ33
皆、「貿易」という一番平和的な方面での改革には賛成だったが、新たな難題を前に考え込んでいた。
「商品かぁ…。アステラス王国にしか無いものが良いですよね。ヘレナさん、今まではどんなものを輸出してたんですか？」
「ここ最近この国は産業が廃れて輸出が疎かになっているけど……それまでは都市で盛大な市場が開かれていたのよ。そこに各国の商人を招いてアステラス王国独自の織物の直接取引をしていたみたい」
「確か、商業が衰退してしまったのは、煌帝国が上質な絹を売り出したからよね。
大量の人員を他国に渡して彼らを農園で働かせ、その地で取れた絹を献上させて自分の国の商品にした…」
と、ぽつりと嘆くように呟くレイラ。
それを聞いて、財政官が不思議そうな顔をした。
「あら、レイラ。詳しいわね。そんな情報、商人ぐらいしか知らないわよ？」
「え？ あ、えーと……色々勉強したのよ」
彼女にしては珍しく目を泳がせている。
「ふ〜ん…まあいいわ！
とりあえず皆、次回の会議までに貿易に使えそうな商品を考えておいてね！ 今回はここで解散！」
ヘレナが立ち上がり、バンと机を叩く。
半泣き状態でマリアが言った。
「ヘレナさん、女王の台詞取らないでくださいぃ……」
「まあ！ 私ったら。ごめんなさいね女王陛下！」
金髪の財政官は、舌を出してお茶目に笑った。
◇◇◇
廊下を歩きながら、トラルークが隣にいるマリアに愚痴をこぼす。
「……テンション高い」
「ん？」
「あのヘレナって人。疲れる」
マリアが苦笑する。
「でも、すっごく良い人だよ？ 私が女王としてお城に来たとき、一番最初に話しかけてくれた人だもん。私のこと、認められないって人もたくさんいたから…。皆、やめさせられちゃったけどね」
そう。マリアが選挙で当選したとき、王宮のほとんどの人間は彼女を受け入れようとしなかった。スラム出身で何の実力もなく、まともに演説さえ出来なかった若い少女が王に選ばれた事に、怒りを覚えていたのだ。
しかし、城に古くから仕えていた近衛隊長のゴドルは、今まで悪政を強いてきた彼らを一掃する事を考えていた。幸い、彼の権力は王宮の中でも揺るぎ無いものであったため、評議会にかけ、何とか女王に楯突こうとする反乱分子たちを城から追い出す事が出来た。
その穴埋めとして、新たな人員が城に追加されたのだ。ヘレナもその一人である。
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ちぇりい(プロフ) - のどかさん» コメントありがとうございます！ 続きを更新できるように頑張りますので、これからもよろしくお願いします！ (2015年11月5日 6時) (
レス) id: 19c12415ef (このIDを非表示/違反報告)
のどか(プロフ) - お久しぶりです！この小説も第三弾ですね、前回の展開がやばすぎて（フィアちゃんかっこよすぎですよ。）これからも頑張ってください！続きが気になって仕方ないですー！ (2015年11月3日 22時) (レス) id: c4d22bd61b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちぇりい | 作成日時：2015年11月1日 17時
