第65話 暗闇 ページ32
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去っていく仲間たちの後ろ姿を見送ると、レイラのあの冷たい表情を思い出して辛くなった。もう二度と、彼女は私に優しい笑顔を向けてくれる事は無いのだろうか…。
「!」
ふいに悪寒がした。この威圧感、尋常ではない。恐ろしい黒いもやの様な何かが、足音と共に近づいてくる。一歩、また一歩と足が踏み出される度に、冷や汗が頬を伝う。
構えを取って相手が来るのを待っていると、予想外の人物がやってきた。
「よ、ルカちゃん」
「………青秀?」
あり得ない。先程の威圧がこいつの訳がない。
いつも私にちょっかいを出してくる時は恐ろしい気配など微塵も感じなかったし、正直私も紅炎の眷族の中では一番
「何をしに来た」
「あれ〜? 捕まってるのにそんな態度で良いのかな?」
「っ…」
「俺さ、ルカちゃんに怖がられたくなくてずっと我慢してたんだけどさ。本当はこう見えて結構怒ってんだよな」
青秀の顔から笑みが消えた次の瞬間。
髪の毛の何本かの蛇が伸び、鉄格子の隙間から牢屋の中に入ってきた。
「ひっ……!」
狭い牢の中では逃げ場がなく、蛇はあっという間に私の体に絡み付き、体の自由を奪われてしまった。
駄目だ…やっぱり怖い。今までは極力見ないようにしていたからなんとか大丈夫だったものの、こうして触れられると恐怖で体が震えてしまう。
「いや〜、怖がっちゃってホント可愛いな〜。蛇苦手なんだろ?」
幼い頃の記憶が蘇る。
まだ貴族の屋敷で働かされていた頃―――仕事に失敗し、「罰だ」と言って蛇だらけの部屋に長時閉じ込められた事があった。兄さんも助けに来る事が出来なくて、私はずっと蛇に囲まれたまま一人ぼっち。身体中に絡み付く無数の蛇。辛くて怖くて、このまま自分は死んでしまうのではないか…そう思った。それ以来、私は蛇を含む爬虫類が苦手になってしまったのだ。
「ひぃ……や、やめ………もうゆるし、ひゃあ!?」
蛇がいきなり服の中に侵入してきて、悲鳴を上げると、今度は口を塞がれ完全に抵抗できなくなった。
「閣下に脅しかけとけって言われてんだわ。ちゃんと反省できる様にさ。まあさすがに痛め付けるのは可哀想だから」
青秀が黒い笑みを浮かべると、蛇が妖しげに体をくねらせ、肢体を這う。
「素直に従ってりゃあ気持ち良くしてやるよ」
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真冬(プロフ) - いいえー。更新頑張ってくださいね(о´∀`о) (2015年7月2日 11時) (レス) id: f157971441 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりい(プロフ) - 真冬さん» なるほど…レイラさんは大人の色気、フィアはツンデレラブリーですもんね! ありがとうございました。 (2015年7月2日 7時) (レス) id: 19c12415ef (このIDを非表示/違反報告)
真冬(プロフ) - お久し振りです(*´ω`*)そうですね、やっぱり、紅炎様 ファンなので紅炎様ですね。あ、でもレイラさんとフィアが、好きです。続き、楽しみにしてますよ(о´∀`о) (2015年6月26日 22時) (レス) id: f157971441 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりい(プロフ) - 真冬さん» 「頑張って」の一言だけでも十分嬉しいですよ! ホント、真冬さまは神様です! ありがとうございます! (2015年6月21日 18時) (レス) id: 19c12415ef (このIDを非表示/違反報告)
真冬(プロフ) - ちぇりいさん» 返信遅れましたが、今回もまた続きが気になりますね♪何か、頑張ってくださいしか言えてないのですけどごめんなさい。だけど、とっても応援してますよ( v^-゜)♪ (2015年6月21日 11時) (レス) id: f157971441 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちぇりい | 作成日時:2015年5月30日 0時