第60話 月灯り ページ26
妖しい月灯りの下―――
ルカは練紅炎たちの詰め所へと侵入しようとしていた。
手には兄の唯一の形見であり、彼女の相棒である神槍ダスカロン。
窓は閉まっていたので、大胆に割って中に入った。すぐに警備兵たちが駆け付ける。
(二人だけか…意外と少ないな。まあ、大半は皇帝のお守りだろうが)
「侵入者だ! 捕らえろ!」
「眠れ」
少女はすぐに兵の後ろに回り込むと、首根っこを掴んで彼らの頭同士を強くぶつけた。
鈍い音と不意打ちの叫び声が響き、二人の兵はその場に倒れた。とりあえず紅炎たちを片付ける間眠ってくれていれば良いので、殺す必要は無い。衝撃で今の記憶も飛んでいるであろう。
ルカは直ぐ様、事前に調べておいた部屋へと向かう。
被っていた仮面を外し、マントを脱ぎ捨てると、ノックもせずに扉を勢いよく開けた。
少し広めの宴会場の中にいた人物の中で、一番最初に声を発したのは青秀だった。
「お、ルカちゃん!? なんでいんの!? やっと俺と寝る気になった?」
「んん〜〜〜? なんだよ青秀、お前の女か。にしちゃすげえ乱暴な女だなァ。何か窓が割れる音も聞こえたし」
酔って顔を赤くした楽禁がからかう様に言う。
一番奥にいる練紅炎は、訝しげにこちらを見ている。
「……その殺気、どうやらただ遊びに来たという訳ではなさそうだな」
「その通りだ」
ルカは槍を握り締め、紅炎に近づいていく。
「仇を討ちに来た。覚悟しろ。練紅炎、楽禁、周黒惇、炎彰、李青秀」
「え、俺も? てか何かしたっけ?」
「死ね!」
少女はヘラヘラと笑っている目の前の男へ狙いを定め、槍を前方へ突き出した。しかし、軽々と避けられ、姿を見失ってしまう。
焦って辺りを見回すが、見つけられない。
(一体何処に隠れたというのだ…!)
「いくらルカちゃんでも閣下を呼び捨ては良くねぇなぁ。捕まえてお仕置きしなきゃな」
真上から声が聞こえてくると同時に、無数の蛇が伸びてきた。
(上に張り付いていたのか…! 気持ちが悪い)
辛うじて逃れるが、今度は楽禁の拳が飛んできた。
「くっ!」
足を踏ん張り、槍で受け止める。
「ほう〜、丈夫だなァ」楽禁が楽しそうにそう呟いたかと思うと、槍を握られ、そのまま持ち上げられた。
「お! いいっすね楽禁殿! パンツ見せて下さい!」
「ン? しょうがねぇな〜〜」
楽禁は青秀のスケベぶりに若干呆れながらも、ルカを高く持ち上げ、片足をひっつかむと体を回転させた。
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真冬(プロフ) - いいえー。更新頑張ってくださいね(о´∀`о) (2015年7月2日 11時) (レス) id: f157971441 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりい(プロフ) - 真冬さん» なるほど…レイラさんは大人の色気、フィアはツンデレラブリーですもんね! ありがとうございました。 (2015年7月2日 7時) (レス) id: 19c12415ef (このIDを非表示/違反報告)
真冬(プロフ) - お久し振りです(*´ω`*)そうですね、やっぱり、紅炎様 ファンなので紅炎様ですね。あ、でもレイラさんとフィアが、好きです。続き、楽しみにしてますよ(о´∀`о) (2015年6月26日 22時) (レス) id: f157971441 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりい(プロフ) - 真冬さん» 「頑張って」の一言だけでも十分嬉しいですよ! ホント、真冬さまは神様です! ありがとうございます! (2015年6月21日 18時) (レス) id: 19c12415ef (このIDを非表示/違反報告)
真冬(プロフ) - ちぇりいさん» 返信遅れましたが、今回もまた続きが気になりますね♪何か、頑張ってくださいしか言えてないのですけどごめんなさい。だけど、とっても応援してますよ( v^-゜)♪ (2015年6月21日 11時) (レス) id: f157971441 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちぇりい | 作成日時:2015年5月30日 0時