第6話 主人公の過去も訳アリ? ページ8
皆が昔の話を楽しそうにしていたので、遠慮がちな性格のマリアは口を挟めず、一人ぽつんと座っていた。
それに気づいたレイラは、マリアにも疑問を投げ掛ける。さすが最年長、気遣い上手だ。
「マリアちゃんは、どうしてこの国に来たの? 話したくなかったら、話さなくても大丈夫だけれど」
マリアは一息ついてから答えた。
「い、いえ…皆さんが話してくれたので、私もお話します。
私もレイラさんと同じで、アステラス王国のスラム街で育ったんです。母はシングルマザーでした。彼女は私のことが嫌いで…だけど私はたった一人の肉親である彼女と仲良くしたくて、愛してもらいたくて、家事をたくさん頑張りました。特に料理は、少しでも母に喜んでもらいたくて、一生懸命しました。結局、食べても何も言ってくれなかったんですけど。
そのおかげで今炊事能力が身に付いているから、結果的には良かったですね。
家には、頻繁に母の彼氏が出入りしていました。幼かった私は大柄な男の人が怖くて、彼が来た時はいつも部屋の隅っこで身を潜めてました。
そして、私が住んでいた地区のスラムで火事が起こったんです。密集していたバラックに火はあっという間に燃え移って、皆死にました。私の母と、その彼氏も。
私、悲しいはずなのに、その時思ってしまったんです。
『ああ、やっと解放された』って…
涙も全然流れませんでした。
…それから私は、ある目的のために、世界を転々としていました。だけどその目的が果たせなくて、この国に戻ってきたんです。そこでお金がなくて食べるものに困っていたところを、皆さんに拾われました」
話が終わっても、しばらくの間誰一人口を開かなかったので、マリアが場の空気を明るくするために、口を開いた。
「わ、私たちって全員訳アリですよね! すっごい偶然…!改めてよろしくお願いしま…ひゃん!?」
そう言いかけたところで、突然ルカがデコピンをした。
「敬語はやめろ。腹を割って話した以上、私たちはもう仲間だろう?」
その言葉を聞いた途端、マリアの金色の瞳が潤んだ。他の皆も、ルカに賛同してうんうん、と頷いている。
「ごめんなさい…私、仲間なんて言ってもらえたの、初めてで…。すごく嬉しいです。ありがとうございます。あっ! ありがとう、皆!」
マリアの向日葵のような明るい笑顔を見て、ルカたちも自然と笑顔になった。
周囲のルフたちもそれを感じとり、彼女たちを優しく包み込んだ――。
第7話 まさに定番! モンスター現る!→←第5話 訳アリな美少女たち
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ちぇりい(プロフ) - ノルネットさん» コメントありがとうございます。すみません、話的にどうしても名前の決定が必要でした。皆様には主人公ではなく読者としてこの作品を見ていただきたくて…ご期待に添えず申し訳ありません。 (2016年2月16日 19時) (レス) id: 19c12415ef (このIDを非表示/違反報告)
ノルネット - 名前変換ができると嬉しいです! (2016年2月6日 23時) (レス) id: ed849dd137 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりい(プロフ) - ユートピアさん» コメントありがとうございます! 更新頑張るので、どうかこれからもよろしくお願いいたします! (2015年5月17日 9時) (レス) id: 19c12415ef (このIDを非表示/違反報告)
ユートピア - とてもおもしろいです!続き楽しみです!頑張ってください (2015年5月16日 22時) (レス) id: afcfdd1663 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりい(プロフ) - のどかさん» はい! 私も早く紅炎様を出したい一心で機をうかがっております。。 選挙編頑張って書きます! (2015年4月22日 23時) (レス) id: 19c12415ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちぇりい | 作成日時:2015年3月1日 9時