第37話 一人の少女 ページ46
街広場に設けられた特別席には、煌帝国の練兄弟とその眷族たちが座っていた。
立候補者たちは、ルビソンの演説を聞いてすっかり自信を無くしてしまい、小さな声で何か言っているだけになってしまったので、紅炎は退屈して弟に内緒で持ってきた歴史書を読み漁っていた。ちなみに当の紅明は隣で爆睡している。
どれくらい時間が経っただろうか。ざわめいていた民衆が、突然静まり返った。
さすがの紅炎も歴史書から目を離し、壇上に目を向ける。
…そこには、蜂蜜色の美しい髪を持つ、小柄な少女が立っていた。
「おい、起きろ紅明」
「あいたっ! 起こす時いちいち殴るのやめてくださいよ兄王様! …おや、あの少女は?」
「恐らく、あれが16歳の…マリアだ」
「随分と可愛らしい方ですね」
少女は、ステージの上で足を震わせ、呆然としていた。
(す、すごい人……こんなに多いの、初めて見たよ…)
「み、み、みみみみ、皆さんこんにちは! 今回のこきゅおう選挙に立候補した、マリアです!」
(か、噛んだー!! 恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい恥ずかしい!! もう、穴があったら入りたいよ…)
国民たちは、相変わらず沈黙している。
紅炎は、慌てふためく少女の姿を見て、思わず顔がにやけた。
(最後に面白い余興が見れそうだ)
マリアは、今にも泣きそうになりながらも、なんとか演説を続ける。
「わ、私の夢は、アステラス王国を、笑顔が溢れる国にすることです! 今、この国はとても貧しくて、みんなが悲しい思いをしています。だから…私が、この国を救います!」
メイたち4人は、マリアのことが心配になり、舞台裏を出て街広場で演説を聞いていた。
「事前に考えていた内容と全く違うぞ」
「緊張しすぎて飛んじゃったんじゃない? 舞台裏であんなにカッコつけてたくせにね。どーすんのよ。あれじゃ説得力ないわよ」
仲間たちは、不安そうにマリアの様子を見守っていた。
(言葉じゃいくら言っても伝わらない…こうなったら…)
マリアは軽く深呼吸すると、スカートのポケットに手を突っ込み、中から神歌シャルララと大きな宝石のような物を取り出した。
少女が呪文らしき言葉を唱えると、宝石が光り出し、街広場全域に聞こえる大きな音で音楽が鳴り始めた。
※神歌シャルララ…久しぶりすぎてわからない方もいらっしゃるかもですね(笑)
忘れてしまった方は第8話から11話をご覧下さい。
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ちぇりい(プロフ) - ノルネットさん» コメントありがとうございます。すみません、話的にどうしても名前の決定が必要でした。皆様には主人公ではなく読者としてこの作品を見ていただきたくて…ご期待に添えず申し訳ありません。 (2016年2月16日 19時) (レス) id: 19c12415ef (このIDを非表示/違反報告)
ノルネット - 名前変換ができると嬉しいです! (2016年2月6日 23時) (レス) id: ed849dd137 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりい(プロフ) - ユートピアさん» コメントありがとうございます! 更新頑張るので、どうかこれからもよろしくお願いいたします! (2015年5月17日 9時) (レス) id: 19c12415ef (このIDを非表示/違反報告)
ユートピア - とてもおもしろいです!続き楽しみです!頑張ってください (2015年5月16日 22時) (レス) id: afcfdd1663 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりい(プロフ) - のどかさん» はい! 私も早く紅炎様を出したい一心で機をうかがっております。。 選挙編頑張って書きます! (2015年4月22日 23時) (レス) id: 19c12415ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:ちぇりい | 作成日時:2015年3月1日 9時