第31話 希望の光 ページ36
「皆、意見は同じようじゃな。では、最後に尋ねる。この国を救うのは、誰じゃ？」
老婆が諭すようにそう言うと、皆一斉にマリアを見た。
「マリア。ワシら、ターリンの街の者は皆おぬしに投票する。だからどうかワシらの願いを聞いておくれ。
ワシがまだ若かった頃…アステラス王国は素晴らしい国じゃった。美しい自然に恵まれ、産業は豊かで、優しくて聡明な王やその側近たちの下で、人々は明るく平和に暮らしていた。
それがいつからか…煌帝国が関わってくるようになってからは、この国はおかしくなっていったんじゃ。こちら側に不利な貿易のせいで産業は廃れ、人々は職を失い、かつて商業で栄えていた城下町はスラム街へと変わった。
煌のせいで国がだめになったのに、今やこの国は傘下にまで入ろうとしている。このままでは、あちらの思惑通りになってしまうよ。
わしらもお前さんと同じ考えなんじゃ。自分たちで立ち上がって、この足でこの地を踏みしめて歩いていきたい。
もう、煌の思う通りにはさせん。
おぬしがこの国を変えてくれ。
これがターリンの街の者一同の願いじゃ」
老婆は、マリアの手をしっかりと握って、頭を下げた。
金髪の少女は、それに答えるように老婆の手をぎゅっと握り返した後、熱い抱擁を交わした。
「ありがとうございます。皆さんの思いは、しっかり受け取りました。
…私、精一杯頑張ります！ 国のみんなを幸せにしてみせます！」
そう言って笑うマリアの姿は、まるで教会のステンドグラスを背に微笑む聖母の様だった―――。
◇◇◇
荷車を引き、去っていくマリアたち一行に、街の人々が笑顔で声をかける。
「おねーちゃんたち、頑張ってねー！」
「しっかりやるんだぞー！」
「選挙が終わったら、また遊びに来なさいな！」
マリアたちは、嬉しそうに手を振り返した。
「マリアちゃんの強い意志が、街の皆に伝わったのね。かっこよかったわよ」
「ほんとほんと！ マリア、ほんものの王様みたいだったよー！」
「やはり、マリアは私達の太陽だな」
「まあ、あんたにしてはよく出来た方じゃない？ このあたしが特別に誉めてあげるわ！」
仲間からの賛辞を受け、マリアは照れくさそうに笑う。
「あはは、ありがとう。みんなが一緒に頑張ってくれたおかげだよ。
よーし！ 明日からもこの調子で、選挙回り頑張ろうね！」
マリアが手をグーにして上げると、皆も元気よく「おー！」と言って手を振り上げた。
息抜き 紅炎様との夏の思い出�、�←第30話 国王目指して三千里
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ちぇりい(プロフ) - ノルネットさん» コメントありがとうございます。すみません、話的にどうしても名前の決定が必要でした。皆様には主人公ではなく読者としてこの作品を見ていただきたくて…ご期待に添えず申し訳ありません。 (2016年2月16日 19時) (
レス) id: 19c12415ef (このIDを非表示/違反報告)
ノルネット - 名前変換ができると嬉しいです！ (2016年2月6日 23時) (レス) id: ed849dd137 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりい(プロフ) - ユートピアさん» コメントありがとうございます！ 更新頑張るので、どうかこれからもよろしくお願いいたします！ (2015年5月17日 9時) (レス) id: 19c12415ef (このIDを非表示/違反報告)
ユートピア - とてもおもしろいです！続き楽しみです！頑張ってください (2015年5月16日 22時) (レス) id: afcfdd1663 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりい(プロフ) - のどかさん» はい！ 私も早く紅炎様を出したい一心で機をうかがっております。。 選挙編頑張って書きます！ (2015年4月22日 23時) (レス) id: 19c12415ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちぇりい | 作成日時：2015年3月1日 9時
