第22話 選挙、始まります？ ページ26
とある日の夜―――
皆が馬車から出て、森で食事の準備をしていると、マーサが言った。
「盗賊ばっかりで大変だったね。でも、安心して。明日はついに選挙回りの最初の街に到着するよ！ 頑張ってね、皆」
「…つ、ついに始まるんだぁ…」
マリアは、緊張を押さえきれないといった様子で、足をもじもじさせている。端から見ればトイレに行きたがっている人のようだ。
「何今になってビビってるのよ！ このフィア様が付いてるんだから、豪華客船に乗ったつもりで胸張ってなさいよ!!」
「す、すごいスケールだね、フィア…」
「全くだ」
皆も緊張しているはずだが、いつも通り楽しく会話していた。
マリアは、ふと思いついた事をマーサに尋ねる。
「明日から選挙なので聞きたいんですけど…マーサさんは、アステラス王国をどんな国にしたいですか？」
彼女の問いに、マーサは少し考えながら答える。
「そうだなあ…。差別のない国、かな」
「差別のない国…？」
「そ。初めて会った時さ、マリア、私を見て『女の人だ〜』って言ったでしょ。あれって、御者は男の仕事だって思ってたってことじゃん？」
「あ、はい…そうですね…」
「あれも、無意識のうちに差別してるってことになるんだよ。ルカが『まだ若いのに』って言ったのもそう。意識して口汚く差別するのもダメだけど、悪気がなくて差別しちゃう方が、本当は怖いんだよ」
マリアはその話を聞き、決意を固めた。
「マーサさん、ありがとうございます。もし私が王になれたら、その時はみんなの小さな差別をなくしていきます！」
「うん！ 期待してるよ」
その時、マーサは笑っていたが、その顔が何だか悲しそうだとマリアは思った。
それから、皆はいつもの様にご飯を食べ始めた。
「マリア」
料理を終え、食事を摂ろうとしたマリアをマーサが呼び止める。
「ちょっとお話いいかな。ここじゃ話しにくいから、裏まで来てくれない？
…選挙のことなんだけどさ。」
マーサはここ数日の間、マリアたちに選挙の情報を仕入れ、伝えてくれていたのだ。
「わかりました」
◇◇◇
皆が食事をしている森からだいぶ離れた古い小屋の側で、マリアは資料を取りに行ったマーサを待っていた。
「マーサさん、遅いな…」
(それにしても、話って何だろう。呼び出すってことは、そんなに大事な話なのかな)
そんなことをマリアが考えていると、後ろからザッと木の葉を踏む足音が聞こえた。
第23話 思いがけない襲撃→←第21話 悪を裁くことは我らの使命か？
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ちぇりい(プロフ) - ノルネットさん» コメントありがとうございます。すみません、話的にどうしても名前の決定が必要でした。皆様には主人公ではなく読者としてこの作品を見ていただきたくて…ご期待に添えず申し訳ありません。 (2016年2月16日 19時) (
レス) id: 19c12415ef (このIDを非表示/違反報告)
ノルネット - 名前変換ができると嬉しいです！ (2016年2月6日 23時) (レス) id: ed849dd137 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりい(プロフ) - ユートピアさん» コメントありがとうございます！ 更新頑張るので、どうかこれからもよろしくお願いいたします！ (2015年5月17日 9時) (レス) id: 19c12415ef (このIDを非表示/違反報告)
ユートピア - とてもおもしろいです！続き楽しみです！頑張ってください (2015年5月16日 22時) (レス) id: afcfdd1663 (このIDを非表示/違反報告)
ちぇりい(プロフ) - のどかさん» はい！ 私も早く紅炎様を出したい一心で機をうかがっております。。 選挙編頑張って書きます！ (2015年4月22日 23時) (レス) id: 19c12415ef (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：ちぇりい | 作成日時：2015年3月1日 9時
