第五十八話 ページ16
クロハSide
クロハ「…。」
A「…。」
先ほどから沈黙が絶えない観覧車の中。
何してんだ、俺。
Aを楽しませるためにここに来たのに。
クロハ「なあ…A。」
気まずい雰囲気に耐えられず、俺はAに問いかける。
A「…何。」
クロハ「…楽しいか?俺といて。」
A「………。」
Aはしばらく俺の顔を見つめてから、少し俯きながらゆっくりと頷いた。
その顔は、林檎のようにほんのりと赤みを帯びていた。
クロハ「…折角乗ったんだから、ここの醍醐味も見ていけよ。」
A「…うん。」
俺の事を意識しているのだろうか。
気づけば、観覧車は頂点のすぐそばだった。
A「わー…き、綺麗…。」
Aは、思わず感嘆の声を漏らしていた。
A「クロハっ!ほら、クロハも見てよ!あそこ!」
無邪気な声で俺に呼びかける。
クロハ「…俺は別にいい。」
A「えー、でも折角来たんだし…。」
___そんな顔で見ないでくれよ。
お前は、本当は___
俺を恨むべきはずなのに。
A「折角来たんだし、ね?クロハも…」
クロハ「俺は別にいいって。お前が見れれば。」
A「むー…。」
俺が跳ね返せば、彼女は頬を膨らませ、俺の方を不機嫌そうな顔で見てくる。
まるで、子供のようだ。
これには、さすがの俺も断りかねない。
クロハ「わーったよ…見ればいいんだろ。」
A「うん、ほら見て!あそこ!」
クロハ「ただの街の景色じゃないか。」
A「いやいや、高くから見ると綺麗でしょ?」
クロハ「変わんねえよ、ほとんど。」
A「えー。」
この時間が___
この時間が、終わらなければいいのに。
そうつくづく思う俺は、我儘なのだろうか。
さっきから高鳴る鼓動。
何なんだ、これは。
何でさっきから、Aの事ばっかり俺は考えてるんだ。
いや、以前もこんな事があった気がする。
全くもって分からない。
また、Aの笑顔を見たい___
俺の心は、ただそう思うだけで、他は何ひとつ考えていなかった。
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Madicc(プロフ) - シヲリさん» コメントありがとうございます!アンケートは今一対一の状態ですが、もしその状態が19日まで続いたら、もう神頼みしか手はありません←多分、鉛筆倒しとかです。投票の方もありがとうございます!これからも更新頑張ります! (2014年1月12日 9時) (レス) id: 2ad9991ed5 (このIDを非表示/違反報告)
シヲリ(プロフ) - どうも、シンタローに投票した者です。19日になっても決まらないようでしたらクロハでも構いません!今、一対一の状態ですよね?違ってたらご免なさい!応援してるのでがんばってください!長文失礼しました。 (2014年1月12日 9時) (レス) id: 8c6936e887 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:Madicc | 作者ホームページ:http://uranai.nosv.org/u.php/hp/redwhite/
作成日時:2014年1月2日 12時