第五話 ページ7
貴「酷く不思議な男だった。
力を持っていながら
僕は馬鹿馬鹿しく思いつつも、その男の書く小説に心を躍らせ、師として尊敬していた。
然し、孤児らは異国の軍人くずれに殺され、師も軍人の頭領に付き合うようにして、命を落とした。」
藍色の少年は何も言わない。
ただ、静かに僕の話に耳を傾けている。
貴「僕は恩師と、その養い子たちを救えなかった。挙句の果てには、兄妹を残して命を散らせた。
マフィア風情が何をと思うだろう。
滑稽だろうな。多くの命を奪っておきながら、たった数人の命を守れなかったことに嘆くなど。
自分勝手にも程がある。」
そうだ。こんな殺人鬼が今更何を云うのだろう。数多の命乞いを聞き、それを遮るかのように命を掻き切った。
貴「僕ただ一人が平和に穏やかに生きている。
「……………それは違うと思いますよ。」
貴「……」
「貴女の事情は大体察することが出来ました。
貴女がお師匠さんとその養い子を大切に思っていたこと、そして自分だけが生き返った事に釈然としていない事も。」
貴「分かったような口を………」
縛り付けられたまま、僕は目の前の少年を睨みつける。
「えぇ、僕に貴女の全てを理解することは出来ません。そして、それは貴女も同じ。貴女も僕を完全に理解することは出来ません。
だって、
此奴が何を云わんとしているのかが分からない。貴様と僕が他人だと？そんな当たり前のことを何故ここで云う。
「しかし、他人だからこそ言えることだってあるのですよ。
こう考えて見ては如何です？貴女は生き直すチャンスを与えられたのだと。」
貴「チャンス……？」
「えぇ。せっかく生き返ったのですよ？このまま終わりにするんですか？僕からしたら、それこそ滑稽です。使える物は使いませんとね。」
貴「……貴様、本当に童か？」
「クフフ、どうでしょう？一つだけ…輪廻を廻った、とでも云っておきましょうか。
嘘だ、とは云いませんよね？貴女は転生しているのですから。いわばお仲間です。」
出会った頃と比べて、機嫌良く話す少年。そこに、マフィアへの嫌悪を顕にした表情は見受けられない。
この小説をお気に入り追加 (しおり)
登録すれば後で更新された順に見れます 231人がお気に入り
お気に入り作者に追加
この作品を見ている人にオススメ
この作品を見ている人にオススメ
「文豪ストレイドッグス」関連の作品
違反報告 - ルール違反の作品はココから報告感想を書こう！(携帯番号など、個人情報等の書き込みを行った場合は法律により処罰の対象になります)
ゆきな(プロフ) - リング戦つよそうやな… (2020年5月26日 16時) (
レス) id: e7791cc44f (このIDを非表示/違反報告)
ベアトリー - いつかかえって来てくれるのを待っています。楽しみにしています。 (2019年9月23日 16時) (レス) id: 48ec9c7d08 (このIDを非表示/違反報告)
十七夜(プロフ) - 作者の十七夜です。更新しようとしたところ、何故か占ツクのデータが消えてしまい、ログイン出来なくなってしまいました。おそらく、復旧は難しいと思われます。楽しみにしていただいた皆様に大変申し訳ないのですが、一旦更新をストップしようと思います。 (2019年9月21日 9時) (レス) id: 71ca1b1b4e (このIDを非表示/違反報告)
wayu0112(プロフ) - 面白いです！楽しみにしています。 (2019年6月15日 21時) (レス) id: bed71cde77 (このIDを非表示/違反報告)
十七夜(プロフ) - 零斗さん» ご期待に添えるよう頑張っていきます！ありがとうございます！ (2019年6月9日 8時) (レス) id: 71ca1b1b4e (このIDを非表示/違反報告)
作品は全て携帯でも見れます
同じような小説を簡単に作れます → 作成
この小説のブログパーツ
作者名：十七夜 | 作成日時：2019年5月2日 17時
