黄色短編集 (ページ34)

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スピカ　　　☆7 ページ34

「・・・・・・ダメだ。やっぱり腹減った。」

出し抜けにそう言った。

・・・・・・ホントに、空気読む人だよね(苦笑)

「何か買って来ようか？」

「こんな時間にアホですか。オレが行くから。おまえも何か要る？」

ゆっくり立ち上がった。

後ろポッケに突っ込んでるから、財布かと思いきや。

「・・・・・・カズくん、それ財布じゃないよ。」

「財布が見当たんないから、これでいいわ。」

「銀行の封筒のまんまって！」

「たいして入ってないから大丈夫。」

「大丈夫とか、そういう話じゃないし(爆)」

「行ってる間、財布探しといてよ。そんで？何要るの？」

「甘いモノ。」

「うーわ、この時間に。」

「カズくんのお腹周りにはまだまだ追いついてないから(笑)」

ポカッと私の頭を軽く殴って、笑って。

「んじゃ、ちょっと行ってくるわ。」

「気を付けてね。」

「はいな。」

手をヒラヒラさせながら、彼は玄関へと歩いていった。

その後ろ姿を愛おしい気持ちで見送れるから、それでいい。

モンゴルに行けなくても。
人目を避けなくてはならなくても。
２人で明るい空の下に出ることが出来なくても。

だけど２人で居られるこの場所が今日も平和なままだから、今はそれでいいや。