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スピカ ☆3 ページ30
視線を手元の雑誌に落として、また読み始める。
雑誌の中には早くも素敵なコートや可愛いブーツが満載で、やがてやってくる大好きな季節に想いを馳せてしまう。
あー、早くあのアウター着たいな。
クローゼットの中のお気に入りの１着を思い描くと同時に、年がら年中服装がさして変わらない目の前の彼を見て１人で笑う。
ほんっと、季節感ないよねー(笑)
「――――・・・・・な。」
ふいに彼が手を止めて、こっち振り返った。
「え？」
イヤホンで音楽聴いてた私は、イマイチ何ていったのか聴こえなくて、反射的に訊き返す。
コントローラーを床に置いて、彼が立ち上がった。
イヤホンを相変わらず付けたまま、私は目線を上げて彼がこっちに来るのを見てる。
傍に来て、ストンと私の横に腰を下ろして。
イヤホンを左耳から抜いて。
「何聴いてんの？」
それを自分の右耳に突っ込んだ。
「スピッツ。」
「うわ、懐かし(笑) 何だっけ、このタイトル。」
「『チェリー』。」
「そーだ。『チェリー』。」
あぃして〜る〜のひーびーきーだーけーで つよく〜なれーるー気ーがしたーよ
イヤホンから聴こえるキーの高い歌声に合わせて、彼が歌う。
いつか〜またーこーの場所ぉで きみと〜めーぐーり会ーいーたい
私も一緒に歌う。
「おまえ、ちょっと音痴だな(笑)」
「うるさい(笑)」
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作者名：羊羽
| 作成日時：2015年1月9日 10時
