31.起床、停電 ページ34
「………」
ゆっくり瞼が上がる。
Aはまだぼくの腕の中に収まっていて、すこし安心したような気がする。
時計を確認しようと思ったが、真っ暗でまだ目も慣れない。真夜中に目を覚ましてしまったようだ。
「A、」
すこし揺らしてやると、んん、と唸ってから身体をもぞりと動かした。
「吉良さん、………こわい」
もともと密着していたぼくたちではあるが、Aは些か怖いものが苦手らしい。ついこの間だってテレビのホラー番組を、びくびくしながら視聴していた。ぼくは見ていなかったし、怖いなら見なければいいのに、と思いながら震える彼女にだまって抱きつかれていたのだが。
もっと、と言うように腕をまわされたので、ぼくの体温が、噴火するみたいに上がったような気がする。まだ目は慣れない。
「吉良さん、」
「ああ、怖いならそうしていてくれ。ぼくが電気をつけよう」
窓の外から雨音が聞こえる。びゅうびゅうと風が窓を叩くたび、ぼくを抱きしめる力が強くなるのが、なんともこう、言葉にしがたい可愛らしさというか、…。眠る前は電気をつけていたというのに、どうしたのだ。停電でも起こったら、このまま朝を迎えることになるのか？この状況は生殺しじゃあないのか？
よろよろと立ち上がると、そのまましがみ付くAも一緒に立った。
二、三歩進んで、いつものスイッチのあたりに手を伸ばすと、やはりそれが触れた。かちりと押すと、やはり、…停電。
「吉良さん」
「…まずいぞ」
密室、二人きり、嵐、真暗、密着、だめだと思えば思うほど意識してしまう。
ここまで条件が揃っている状況もそう無いだろう。…ぼくはどうすれば？
「とりあえず電気はつかないようだ、」
「えっ、それじゃあわたしたち、朝まで」
ようやく暗闇に慣れた視界のなかで、たじろぐAの姿がぼんやりと見える。
「吉良さん、離れないでくださいね」
やはり先ほどから多少声が震えていて、出会った時を思い出させるようだ。
やはり解決策としては、朝まで黙って寝ているというのが正しいのだろうか。………この状態で？
ー
吉良ッ♡
ドキドキ☆密室暗闇の巻！
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久坂朧@三色団子と朧は神(プロフ) - 遅れてすみません、完結おメメタァです！最後も含めて素晴らしい作品でした！短編集も面白くて愛読させて頂いてます……！忙しいとは思いますが体調をくずされませんようお元気でお過ごしください！長文失礼しました！ (2020年6月14日 18時) (
レス) id: 6e12f91009 (このIDを非表示/違反報告)
jojo悪大好き系女子(???????)?(プロフ) - ものすごい吉良しゃんが可愛…とりま更新待ってます！ (2017年1月23日 1時) (レス) id: cc963ba128 (このIDを非表示/違反報告)
三枝(プロフ) - 名無しさん柑橘類さん» ありがとうございます！あほほど更新遅いですがじわじわ頑張ります…！終焉まで見守ってくださると嬉しいです！ (2016年8月22日 20時) (レス) id: e57f69624b (このIDを非表示/違反報告)
名無しさん柑橘類 - とても面白いです！無理のない程度に更新頑張ってくださいね！ (2016年8月22日 14時) (レス) id: 46f619a4c2 (このIDを非表示/違反報告)
三枝(プロフ) - 令さん» ありがとうございます…！少女漫画みたいなやつになれ〜と思って書いてるのでそう言っていただけて本望です…！！！更新も疎かにしないで頑張ろうと思います！ (2016年6月5日 18時) (レス) id: e57f69624b (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：三枝 | 作成日時：2015年11月22日 15時
