【ジョジョの奇妙な冒険】殺人鬼と白雪姫

26.寝言、朝食 ページ28

「ぅ、ん」
カーテンから漏れる光で目が覚める。
締め切った窓の向こうから、平和そうな鳥の鳴き声が聞こえる。
Aはぼくが寝るまえに見た体勢をひとつも崩さずに、そのまま寝息を立てている。握ったままの手と、なんとも幸せそうな寝顔をひととおり眺めて、すこしぼくは感慨深くなった。出会ったときは、表情が無かったからなあ、とか、寝ているときはこんなにしあわせそうなのか、とか、くだらないことを考えていた。

「A、」
「んん」
名前を呼んで揺すってやると、眉をひそめて、ちいさく唸った。
やはり、朝には滅法よわいらしい。いつも起きてくるのはぼくよりも後だし、朝はいつもぼうっとしている。
「A。」
「う、ううー、きらさん、きらさん」
彼女はきっといま、ぼくに起こされながらぼくの夢を見ている。
「きらー、くいー、んんん………かわいいね」
「、ん、わた、し、いまえさもってないの」
おもしろかった。
まずキラークイーンを猫くらいの存在にしか思っていないらしい彼女の言動が逐一おもしろかった。ためしに発現させてみた。Aの寝言を思い出してすこし笑えた。
「ん、あ？吉良さん、ぅえ？なんで」
キラークイーンがまだ隣にいるが、彼女が起きたようだ。
きっと混乱するだろうとは思っていたが、握った手も話さずに慌てている。
「おはよう」
「えっ、おはようございます」
今日の朝の挨拶は変にハキハキしていて、彼女じゃあないみたいだ。

―

「ううーん、」
昨日の夜から記憶がない、とでも言いそうに眉を潜める彼女が唸りながら朝食を口に運ぶ。今日はぼくが当番だ。
「あっ、今日もおいしいです」
「……そうかい、よかったよ」
ついさっきまでの悩みが吹っ飛んだようにぱっと笑顔を浮かべるものだから、驚いて返答が遅れてしまった。今日は眠かったので手抜きスクランブルエッグだ。こんなもので褒められているというのは、なかなかに複雑な気分だ。
「今日は“おでかけ”なんだろう？着替えてこなくていいのかい」
もう9時を回っている。Aは依然としてパジャマのままだ。すでにぼくは新調したシャツに着替えている。

ー
たくさんコメントや評価やhit数いただけてとっても嬉しいです。
わたしの語彙力不足でありきたりな言葉でしかお礼ができないのが悔しいくらい嬉しいです、ありがとうございます！！！！！！！！！！
相変わらず中身のない文章で申し訳ないのですが、頑張っていきたいとおもいます！

27.さみしい、うそ→←00.聖夜、波乱

→ 目次へ｜作品を作る｜感想を書く
他の作品を探す