ドースバース【AU】【短編集】 (ページ8)

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「ご苦労様。一週間の休暇を与えるわ。」

此処では場違いなはずのきれいな声が聞こえた。

女の子？

命令を受けた部下は、胸に手を当て、yes my boss と言って去っていった。
休暇とかあるのか。

案外ホワイト…？

そして、少し離れたところでクリスマスローズを挟んで彼女を見た。

「こんばんは。キラー。」

そう言って彼女は、優しく微笑んだ。

『…』

「あれ、クランケって耳が聞こえなかったかしら。」

美しい。

真っ黒で妖艶な雰囲気を感じさせる髪、黒曜石のような瞳、真っ白な肌に映える真っ赤なドレス。

頭のてっぺんからつま先に至るまで、全てが美しかった。

その時俺は気付いた。

これが一目惚れ、なんだって。

「…〇〇、口。」

反応しない俺にしびれを切らしたのか、彼女は近くの男に命令した。

『…ｯはー…』

ようやく喋れるようになった。
喋ること無いけど。

彼女はこちらを見てニコニコとしている。

どうせ殺されるなら、名前くらい…

っていうか、俺の名前知ってたよな？

…この組織やべぇな。

『…僕はキラー。知ってると思うけど。』

「ｯテメェ！！舐めた態度を…」

「シー…彼が話してるでしょ。」

「…失礼いたしました。」

『君が此処のボス？女の子なんだね。名前は？』

「うん、紹介が遅れたわ。私はA。此処のリーダー…つまりボスね。どれだけ続くかわからないけどよろしくね。

そして…彼はマーダー。私の側近よ。」

『そっか。よろしく。Aちゃん！』

やった…！Aちゃんって言うんだ…可愛い。

側近が気になるけど。何あの陰キャ感。

すっっっっっっごい睨んでくるんだけど。

「…マーダー、」

Aちゃんがそう呼ぶと

「はい。」

満面の笑みで答えた。
気色悪い。

こうして俺とAちゃん…と陰キャの人質生活が始まった。