なんか、まふまふに懐かれてる。

みるくてぃ二本 ページ2

一週間後。

眠たい、眠たいなあ。

気温、21度。湿度、知らん。
とにかく、とっても気持ちいい。

ガラス越しに入ってくる日光が、お日さまが
私を眠りへと誘う。

いや、だめだめ。

バイト中だ。

私は自分の頬を叩いて目を無理やりに覚ました。

ーーー

「ぐすっ…ひぃっく………」

………どうして、こうなったんだろう。

なんで、花の高校生(散り際)の私が、
哀れな成人済み男性の背中を撫でてるんだろう。

監視カメラさん、今だけはちょっと見逃して？

そんなことなった理由の証明はちょうど20分前。

ーーー

暗い顔して店に入ってきた白髪の人。

今日は、ちょっと目が茶色っぽいな。
やっぱりカラコンなのか。

軽く顔を伏せていたのでよくわからなかった。

でも、周りに漂う雰囲気は、
重くて、暗くて。

哀、苦、悲、痛…

棘のように、深く刺さる感情ばかりが、
リボンのようにひらひら、ひらひら。

そのひとは、ただ虚空を見つめるような無を目に宿していた。
何があったらこうなるんだろう。

私は気になった。でも、話しかけられない。

「おねがいします……」

遊園地を楽しみにしていた子供を、
失望させてしまった雨のような声だった。

とんだ比喩表現もいいところだ。

私は赤外線を発するなんかあのピッピッてするやつ←
を手に取り、卵、おにぎり、以下省略…っと読み込んでいく。

「お弁当はどういたしますか？」

激辛チーズキムチ弁当。
ポップに注意書きが貼ってあったはずだ。

【チーズの濃厚さなんてかき消される！辛味の烈火が貴方を(自主規制)す！】

ほら、自主規制のところには、
カタカナのメ、漢字の木、几帳面の几、またカタカナのヌ。
なんとも禍々しい漢字が乗っているのだよ。

この人はどんだけ自分を痛めつけるつもりだい？

「あっためてください」

私はレンジに弁当を突っ込むと、
飲み物売り場に走った。

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