PARACAGE【ars】 (ページ27)

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27.職場。ページ27

開店前の朝礼を終え、売り場で商品整理をしてると肩をポンと叩かれた。

「A！どんな感じだった？」

声を掛けて来たのは、同期入社で研修からすぐに仲良くなったのに別店舗に配属されたアカリ。
一年前から同じ店舗勤務になって、その時は2人で夜通し飲んで喜んだ。

「あー、昨日はごめんね？突然休ませて貰って」
「仕方無いよ、事情が事情なんだから。そんな事より！」
「ん？」
「シェアハウス！」
「あぁ...アハハ...」

アカリが私の変な反応に訝しげな顔を見せる。

「まさか住人さん達と気が合わなかった...とか？」
「ううん、合わないって訳じゃないんだけどね」

むしろ、ニノくんなんかは合う方なんじゃないかな？と思う。
ただ全員がオトコだったとか、普通じゃない気がするし...

その上『モデル咲くん』が同居してるなんて！
何それ、何その漫画みたいな状況！
私の頭がおかしくなったと思われる...！

「ま...まぁ、あれだよね！やっぱり他人と暮らすってのはなかなか大変そーだなぁって思って！」
「あー、なるほどねぇ。A、一人暮らし長かったしね」
「うん、そうそう。そうなのよ」

アハーなんて笑いながら、商品整理の続き。
アカリも隣で同じように商品整理。
開店まであと、10分程度。

「ねぇ、その家って住人以外は入っちゃダメなの？」
「え？そう言えばどうなんだろ」
「もしOKなら遊びに行きたいなーと思って」
「えっ！？...あー、また今度お家のルール聞いとく」

住人以外も入って良いと言われても、友達呼ぶにはハードル高いな...あの家は...。

「あ、そうだ！昨日、彼から聞いたトビッキリの情報があるの！」

アカリが興奮した様子で私の腕を掴んだ。

「咲くんの事なんだけどね！」

持ってたコップを落としそうになって、慌てたら膝から崩れ落ちた。
そんな私の腕を持ってたアカリも一緒に崩れる。

「うわぁ！？なになに！？まだ何も言ってない！」
「こここれ！落としそうになったら焦って！」
「もう、ビックリするじゃん」

ビックリするのはこっちだよ！
何で突然、雅紀くん！？

「あのね、まだ正式発表されてないけど…」

アカリが私の耳に手を添えて、内緒話。

「彼んとこのAWコレクション、咲くんがメインモデルに決まったらしいよ！」

アカリの彼はアパレルブランドに勤めてて、彼女は私が咲ファンなのも知っていて。
きっと私がわーい！ってなると思ったはずなんだけど...
嬉しいのに、わーい！ってなれないのは何でなの、私！