何してるの？ ページ12
「すみません、だいじょうぶですか？」
帽子を被ったマスクの男が見下ろしてくる。
男から差し出された手を取ることもできず固まってしまう。
ああ、わたしこんな寂しいところで死ぬのかしら。
身代金が目的でしょうか？
わたしにそんな価値なんてないのに。
きっとこのかたは知らないのね。
わたしが篠宮家のお荷物なのを。
わたしが覚悟を決めてぎゅっと目を瞑ると、路地裏に風が舞い込んできた。
「離れてください」
「痛っ！！」
恋焦がれた声に目を開くと、男を締め上げているところだった。
「伏見様！」
「Aさま、路地の向こうまで動けますか？わたくしが抑えている間に早くそちらに」
「ま、待ってください！誤解です、伏見先輩！！」
揉み合う中で男の帽子が落ちる。
赤い髪が溢れ出たと思ったら、それは見覚えのある顔だった。
「司くん！」
「司さま？」
伏見様が力を緩めると司くんは地面に座り込んだ。
「はい、朱桜司です。すみません、何やら誤解させてしまったようですね」
司くんの話によると、シナモンでわたしを見かけて声をかけようとしたが、ファンに見られるわけにはいかないので店の外に連れ出したのだという。
帽子やマスクは変装用のもので、決して不審者ではないということだった。
「すみません、私もAさんを傷つけようと思ったわけではないのです。だいじょうぶでしたか？手荒な真似をしてしまい申し訳ありません。騎士なのに女性になんてことを。とても反省しています」
「ううん、こちらこそ早く気づかなくてごめんね」
司くんとは家の関係で何度か会っている。
司くんと桃李くんは幼馴染なので、自然と司くんとの交流もあるのだ。
「伏見様はどうしてここに？」
「怪しい男性とAさまが歩いているのが見えて、気になってついてきたのです。助けるのが遅くなってしまい申し訳ありません」
「ううん、助けてくれてありがとう」
「久しぶりに会えて嬉しいです！Aさんはcafeに何の用事があったのですか？」
「新作のクレープを食べにきたの。司くんはお仕事？」
「いえ、私は今日の分の仕事はもう終わりましたので帰宅途中でした。crepeですか。シナモンは混んでいますし、よければ私の知っている店に行きませんか？よければ伏見先輩もどうですか？」
「よろしいのですか？それでしたらお供いたします」
やったー！伏見様と出かけられる。
「ありがとう、司くん！」
「えっと、何がですか？」
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宝(プロフ) - あーるさん» コメントありがとうございます！弓弦お好きなの嬉しいです〜(*^^*)おもしろいと言ってくださってありがとうございます！応援もありがとうございます！最後まで走りきります (7月5日 20時) (
レス) id: 2151f87f60 (このIDを非表示/違反報告)
あーる(プロフ) - 弓弦の夢小説少ないので嬉しいです(;_;)すごく面白いです応援してます！ (7月4日 23時) (レス) id: cb84109612 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名：宝 | 作成日時：2023年7月3日 19時
