淀みに浮かぶ泡沫は…其ノ壱 ページ15
「――太宰が行方不明?どうせまた川の中だろ」
「拘置所に行ったパターンかも」
「女と何処かに行ったとみた」
迷惑噴射器と称される者が行方不明である、という知らせに返ってきたのは三者三様の推測。
どれもこれもしょうもないもので、敦は思わずげんなりと肩を落とす。彼に信用がないのか、それとも当たり前すぎて手慣れているのかは不明だ。
「えーと…あ、そうだ!上条さんは何か知りませんか!?」
最終手段とばかりに、いつも一番太宰の近くにいる上条に尋ねる。私生活の方は知らないが、もしかしたら…という希望を込めてみるが――、
『太宰?…いや、悪いが知らん。本当は泊まるつもりだったが断られたんだ』
「そうですか……って、えぇ!?泊まるんですか!」
斜め上の返答が返ってきて、思わず聞き返してしまう敦。
『嗚呼、たまに。人のことは言えんが、彼奴は行かないと碌な生活をしないからな』
何てことないように答える上条は、洋書を片手に珈琲を口に含む。そんな彼の仕草一つ一つは洗練されており、かなり様になっている。
育ちが良いのかと以前から思っていたが、字の件もあり、太宰と並び謎が深まるばかりだ。
性格は少し難あれど、整った容姿の他にも、髪や瞳が外国人らしい色も相まって思わず見惚れてしまうほどで……。
「って違う!そんなことしてる場合じゃないですよ!?探さないと!!」
「あの男の危機察知能力と生命力は悪魔の域だ」
「ポートマフィアごときに遅れを取るとは思えない」
『まあ、そう焦らなくてもいいだろう。どうせ何処かでフラフラしてるんだ。経験上、此方が心配するだけ無駄だぞ?』
そう言いながら、彼は珈琲のお代わりを注ぎに行こうとするが、その足は止まる。
『あ、谷崎』
「谷崎さん!もう大丈夫なんですか?」
不思議に思って振り向けば、元気そうな谷崎の姿があった。
『元気そうでなにより』
「やっと回復したか」
「何とか…、与謝野先生の治療の賜物です」
他のメンバーにも声を掛けられ、苦笑しながらも答えていく彼であったが――、
「それで、何度やられた?」
「ッ!?…よ、4回です……」
国木田による爆弾で、治療時の光景がフラッシュバックし、一気に顔が青くなる。
淀みに浮かぶ泡沫は…其ノ弐→←戦場の晩餐を、君と共に…其ノ漆
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ロット - 更新楽しみにしています。また楽しい展開を待ってます! (2018年3月21日 20時) (レス) id: d561f39b52 (このIDを非表示/違反報告)
ファニー - 更新頑張って下さい!応援しています! (2017年5月5日 23時) (レス) id: ccbe8ec79d (このIDを非表示/違反報告)
朔夜(プロフ) - 匿名さん» このお話にBL表現は出さないつもりです。ただ、念のためということで最初に書いただけですし、前編でも対象にはならなかったのでこのままでいきます。…長々と失礼しました<(_ _)> (2017年3月21日 9時) (レス) id: 4c92540543 (このIDを非表示/違反報告)
匿名 - BL表現が少しでもあるのなら、フラグを立てましょう。違反の対象となります。 (2017年3月20日 22時) (レス) id: 53d4575912 (このIDを非表示/違反報告)
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作者名:朔夜 | 作成日時:2017年3月20日 20時